数学大好き宣言!

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楕円関数論とは

7/11今日は楕円関数を紹介します。楕円関数の理論はとても美しく整っていて、複素関数論の格好の応用でもあります。

まず「楕円関数」とは、複素平面上の二重周期関数のことです。どこが楕円かというと、楕円積分(楕円の弧長を求める積分)の逆関数などに現れるので楕円の名を冠しています。二重周期というのは、二つの複素数に対して周期性があるということ、つまり、二つの複素数の定数ω1とω2で、f(z+ω1)=f(z)、f(z+ω2)=f(z)となるということです。(z変数の関数です。)

楕円関数の主要な定理を並べます。それで、おもしろさは伝わると思います。

・同じ周期の楕円関数同士は、代数的関係式を満たす。(二変数多項式=0の形の関係式をもつ。sin^2+cos^2-1=0みたいな)

・とくに、f(nz)もf(n(z+ωₖ))=f(nz)を満たすから、 上の定理より、f(z)が楕円関数ならf(z)とf(nz)(n:整数)は代数的関係式をみたす。(n倍公式)

・二つ上からさらに導かれる定理として、特別な周期の場合には、f(z)とf(αz)(αは虚二次無理数)も代数的関係式を満たす(虚数乗法)。例えばω1=1、ω2=i(虚数単位)なら、楕円関数f(z)とf(iz)は代数的関係式を満たす。

・楕円関数は、必ず加法定理をもつ。(正しくは、代数的加法公式、つまり、f(u),f(v),f(u+v)の三変数の多項式=0の形の関係式をもつ。)さらに、加法定理をもつならば、(広い意味での)楕円関数である。(多項式関数や有理関数、指数関数式などを含める)(1価有理型関数に限定した場合)

・楕円関数は、(一階の定数係数の代数的な)微分方程式を満たす。逆に、一階の定数係数の代数的な微分方程式を満たすなら(広い意味の)楕円関数である。(一価有理型関数に限定した場合)

このように、解析的な関数なのに、代数学と深い関わりがあります。そこが面白いですね。

竹内端三先生の「楕円関数論」が、著作権切れでネットで無料で読めます。名著です。勉強したい方はおすすめ。上に挙げた定理たちの証明も載ってます。ちなみに竹内先生は、「クロネッカーの青春の夢」という予想(もう解かれた、日本人によって!)の、ℚ(√ー3)の場合を証明しました。この「クロネッカーの青春の夢」も、楕円関数についての予想です。美しいですよ。