数学大好き宣言!

勉強メモ。おもしろいことを探していきたい。

今までの振り返り

クリスマスも過ぎ、2020年も終わりに近づいてきた。今年もいろいろな数学を勉強し、今年からはブログに時々メモしてきた。メモしたからには見返さないと意味がない。記事を見つつ振り返ってみる。

・今年はリーマン面の理論を知り、閉リーマン面上の有理型関数のなす体は、代数関数体にもなるという素晴らしい定理を知ることができた。これによって、元から知っていた楕円関数の内容を、非常にすっきりと展開できるようになったのはすごい。かなりお気に入りの定理。ほんとうにお気に入り!

・今年は、数学を勉強してる人たちって意外とたくさんいるんだなあってことが分かった。それがなんだか嬉しい。

・今見返していて、代数関数体の理論を使って、合成可換な有理式の理論を考えることができるんじゃないか?という発想が浮かんできた。

類体論について分かることが増えたのも、今年の大きな成果のひとつ。前までは、「類体論」というものがあるってことと、それがなんか、二平方和定理のものすっごい一般化らしいってことしか知らず、主定理とかアルティン写像とか何のことやらという感じだった。それが今では、類体論の(イデアル類群を使った)主張が大体わかるまでになった。一般化されたイデアル類群とガロア群の関係を記述する理論だ。アルティン写像もわかるようになり、類体論から具体的な分解法則を導くこともできるようになった。類体論が分かったことでさらに、円分体というのが、何かよくわからんアーベル拡大の集まりなのではなく、ray類体と呼ばれる超重要な体のℚでの例だったのだと分かった。これは、解析関数の等分値でアーベル拡大を構成しようという問題に、より深い解釈を与えてくれる。クロネッカーの青春の夢も、ray類体の構成という理解のしかたができるようになった。この点は本当によかった。

・局所化の威力も知ることができた。素イデアルをどんどん減らすことができ、十分減らすとイデアルがすべて単項になる。局所化を知ったことで、これは局所的な問題、これは大域的な問題、と頭を切り替えられるようになった。大きな武器だ。今度はさらに完備化もわかるようになりたい。デデキントの判別定理を勉強しようとして挫折したのだが、それはp進体がよくわからなかったからだ。具体的には、p進体の拡大やイデアルの分解がわからなかった。きっと普通の環で考えるより簡便になるのだろう、局所化してもけっこう簡便になるが、完備化までするともっともっと簡便になるのだろう。

・素イデアルの分解を、有限体の拡大で調べるということも今年知った。そもそも、有限体の拡大のいろいろの性質を知ったのも今年。大きな進歩だ。

類体論の定義を理解しようとしたりとかしているうちに、素イデアルの分解に関するヒルベルトの理論がじわじわ分かってきた。フロベニウス写像ガロア群への)がやっと分かった。分解の度合いを、ガロア群の元に対応させて表現しようという考えがおもしろい。

・環A上の閉包って考え方が理解できたのも、地味ながら大きな進歩。類体論で相対イデアル類群を知ったりしたことも相まって、ℤ上の閉包Oₖだけ特別視するでなく、局所化で素数を消したりして"相対的"に考えることができるようになった。

・グラフの調和関数というとってもおもしろい物を知ることもできた。

wolfram alphaにコード集があることと、magmaの存在を知ることができたのは大きい。よくわかんない時や不安なときは、計算してもらうという選択肢ができた。今までは、「これを計算したいなあ」と思ったときに、「magmaやwolframで検索しよう」なんて思ったこともなかった。情報に疎いなあ。

ゼータ関数の分野でもかなり勉強が進んだ。行列のゼータ関数のいろいろの変形を見た上で、グラフのゼータや有限体のゼータを知ったことで、「ゼータ関数作用素からできる」ということが分かってきた。作用素から作り、"不動点定理"(固有値理論)で変形する。ただコホモロジーとの関連?はよくわからない。

・そもそも、数論の幾何類似をいろいろ知ったのも今年だ。結び目との類似、測地線との類似、グラフ理論での類似など。幾何類似はとてもおもしろい。もっと勉強したい。

・xⁿ+1と(x+1)ⁿ+1の公約数の話はおもしろかった。

・複素力学系もかじった。外射線を用いて充填ジュリア集合の対称性の説明に成功するところは、本当に美しい。

・メリン変換を知ったのは大きい。べき級数をディリクレ級数に変える魔法の公式。これを使うと簡単にゼータ関数を調べられる。ゼータの解析接続とは、結局等比級数の解析接続だった。関数等式はテータの保型性。メリン変換以外でもリーマンゼータ関数関連で分かることは増えた。ベルヌーイ数関連の級数の操作が分かったし、フーリエ展開係数が乗法的になるような保型関数をいろいろ考えた(そのような関数をメリン変換するとオイラー積表示が可能で、そのうえ関数等式も示せる)。

・つい最近だが、ホモロジーが少し分かった。境界をとる話なんだ。イデアル類群の類似であることもわかった。

こうして見返していると、学んだ当時の感動がよみがえってくるし、見返しているうちに、またいろいろやりたいことも出てきた。ブログで勉強記録をつけ始めてよかったなあと思う。