数学大好き宣言!

勉強メモ。おもしろいことを探していきたい。

フルヴィッツの四元整数(1)

四元数の性質を分けてメモ(定義、ユークリッド性、一意分解性)
リプシッツの四元整数とは、四元数a+bi+cj+dkで、a,b,c,dが全て整数のもの。
フルヴィッツの四元整数とは、四元数a+bi+cj+dkで、a,b,c,dの全てが整数であるか、全てが半整数(整数+1/2)であるもの。整数と半整数が混ざった1/2+i+j+kなどは違う。
リプシッツの四元数全体をL、フルヴィッツの四元整数全体をHとかく。
四元数には行列表現がある:四元数a+bi+cj+dkを複素行列
\displaystyle\begin{pmatrix}a+bi&c+di\\c-di&a-bi\end{pmatrix}
に対応させると、四元数の和、積はそれぞれ行列の和、積になる。
これにより、四元数の積の分配法則、結合法則スカラー倍との可換性などが分かる。L、Hでも同様。
Lが閉じているのはすぐに分かるが、Hが乗法で閉じていることはあまり明らかでないので、示す。
A,B\in L,~C=(1+i+j+k)/2として、(A+\chi C)(B+\chi 'C)\in Hを言えばよい(χ,χ'は0か1)。
(A+\chi C)(B+\chi 'C)=AB+\chi 'AC + \chi CB +\chi\chi'C^2
まずA,B\in LよりAB\in L\subset H.
\chi 'ACについて、A=a+bi+cj+dk (a,b,c,dは整数) とおくと、
\chi 'AC=\chi '(a+bi+cj+dk)C \\~\\ ~~~=\chi '(aC + ibC + jcC +kdC)
で、aCは、aが偶数のときは係数が整数になるのでHに入り、aが奇数のときは係数が半整数になるのでHに入る。同様にbC, cC, dC∊H.
さらに、X\in HのときiX, jX, kX\in Hとなることはi,j,kの関係式より分かる。よってaC + ibC + jcC +kdC はHの元の和なのでHの元。
よって\chi 'AC\in H.
同様に\chi CB\in H.
C^2=(1+i+j+k)(1+i+j+k)/4 を計算すると(2+2i+2j+2k)/4=(1+i+j+k)/2 となるので\chi\chi 'C^2\in H.
以上より(A+χC)(B+χ'C)はHの元の和なのでHの元。□
L,Hのノルムを、N(a+bi+cj+dk)=a^2+b^2+c^2+d^2で定める。ノルムは常に非負整数である。このことはLでは自明。
Hでも、a,b,c,dを整数としてN \Bigl((a+1/2)+(b+1/2)i+(c+1/2)j+(d+1/2)k \Bigr)=a^2+b^2+c^2+d^2+a+b+c+d+1だから成り立つ。