電気回路と行列
電流をグラフ理論的に。
グラフ理論における「グラフ」とは、下のような、頂点を辺でつないだもののこと。
回路はグラフと見なせる。このとき回路素子はひとつの辺に最高一つになるようにする。例えば下のように↓
このようにして回路はグラフに見立てられる。
もっと複雑な回路でもできる。
今回は素子として電源と抵抗だけのものを扱う。
グラフの辺に下のように向きを決める。これは勝手に決めていい。辺に向きを決められたグラフのことを有向グラフという。
グラフを数式で扱うための準備をしよう。
まずグラフの頂点と辺に番号を振る。頂点の個数をmとし、頂点をとする。
このようになる↓
つぎに辺。辺の本数をnとし、辺をとする。
このようになる↓
辺に対して、辺の向きとして向かっていくほうの点を終点といい、と書くことにする。逆に、行き先の反対のほうの点を始点といい、と書くことにする。例を見よう↓
ある頂点に対して、を終点にもつような辺全体の集合をと書き、を始点にもつような辺全体の集合をと書く。
また、頂点と辺の組に対して、あるいはを、なら1,なら-1, どちらでもないなら0と定める。
このときm×n行列
をグラフの接続行列という。
例を見よう↓↓
を流れる電流が、決めたの向きの方向にの大きさだとしよう。(逆向きなら値を負にとる。)
と定める。
接続行列をベクトルにかけてみよう。の第i成分はだから、キルヒホッフの法則はである。