数学大好き宣言!

勉強メモ。おもしろいことを探していきたい。

高次多項式力学系の発散条件(十分条件)

充填ジュリア集合やマンデルブロ集合の描画では、条件「|z|が2か|c|を越えれば、fⁿ(z)は発散」があったために、点の発散を確定することができ、発散する点については有限回の計算で終わらせることができた。高次多項式力学系に於いても、同じような境界を作れる:
定理: f(z)=z^n + \displaystyle\sum_{i=0}^{n-1} c_{i} z^i とする。(nは2以上の自然数、各cᵢ は複素数)
|z|は、|z|\geq 4かつ任意のiで|c_i|\leq \dfrac{|z|^{n-i}}{2n}を満たすとする。
このとき、\lim _{k\rightarrow \infty}|f^k(x)|=\infty(f^kはk回合成)

証明:|z|が条件を満たすとき、
|f(z)|\geq |z|^n - \displaystyle\sum_{i=0}^{n-1} |c_{i}| |z|^i \geq |z|^n - \displaystyle\sum_{i=0}^{n-1}\dfrac{|z|^{n}}{2n}
=\frac{1}{2}|z|^n \geq \frac{4}{2}|z|^{n-1} \geq 2|z|
(条件不等式の代入の際には、符号に注意)
よって|f(z)|\geq 2|z|が言えたから、繰り返し適用して
|f^k(z)|\geq 2|f^{k-1}(z)|\geq \cdots\geq 2^k |z|. よって正の無限大に発散する。

境界の存在を示すためだけに無理やり求めたが、当然条件中の4は2以上なら何でもいいし、条件不等式の分母の2nにも深い意味は無い。もっと緩い条件や、計算に適した条件があるだろう。