数学大好き宣言!

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modの指数を増やす多項式

以前この記事で→素数冪を法とした、多項式の反復合成 - 数学大好き宣言!
f\left(a+t p^{k}\right) \equiv f(a)+t f^{\prime}(a) p^{k}\mod p^{k+1}
(fは多項式関数、pは素数、a,tは整数、kは自然数)
という定理を紹介した。
f'(a)≡0 (mod p)ならばこれは
f\left(a+t p^{k}\right) \equiv f(a)\mod p^{k+1}
となる。この式を言い換えると、「a\equiv b \mod p^kならば
f(a) \equiv f(b)\mod p^{k+1}
ということもできる。
こうしてf'(a)≡0 (mod p)のときには、fによって mod p^kの不等式をmod p^(k+1) の不等式に動かすことができるのだ。
この定理の具体例として「a≡b \mod p^kならばa^p≡b^p \mod p^{k+1}」がある。

上のp^kからp^(k+1) への定理をもう少し強化してみよう。
次が言える:
「pを素数fを整係数多項式とする。整数a,ba≡b \mod p^{k}(kは自然数), f'(a)≡0 \mod p^{l}(lは自然数l ≤ k)を満たすならば、f(a)\equiv f(b) \mod p^{k+l}

一気に指数をl増やせるようになったのが進歩。
なお、これはa≡b \mod p^k \Rightarrow a^{p^l}≡b^{p^l} \mod p^{k+l}の一般化になっている。

証明:使うのは以前の記事でも用いた次の定理だ:
「整係数多項式f に対して、ある整係数多項式 g(x,y) が存在して
f(x+y)=f(x)+f^{\prime}(x) y+g(x, y) y^{2}
条件よりb=a+tp^k(tはある整数)と書けるから、
x=a, y=tp^k を代入して
f(b)=f\left(a+t p^{k}\right) = f(a)+t p^k f^{\prime}(a) + (t^2 p^{2k}) g(a,tp^k)
よってf'(a)=sp^l(sはある整数),l \leq kなら
f\left(a+t p^{k}\right) = f(a)+st p^{k+l} + (t^2 p^{2k}) g(a,tp^k)
\equiv f(a) \mod p^{k+l}