数学大好き宣言!

勉強メモ。おもしろいことを探していきたい。

2021-01-01から1年間の記事一覧

多項式x²-x+1 の反復合成と素数の無限性証明

f(x)=x^2 - x + 1 として、f^2(x)=f(f(x)), f^3(x)=f(f(f(x))), ... を計算してみる。 f^2(x)=x^4 - 2*x^3 + 2*x^2 - x + 1 f^3(x)=x^8 - 4*x^7 + 8*x^6 - 10*x^5 + 9*x^4 - 6*x^3 + 3*x^2 - x + 1 f^4(x)=x^16 - 8*x^15 + 32*x^14 - 84*x^13 + 162*x^12 - 2…

3元2次形式の「クリスマス型」定理 (数値実験)

フェルマーのクリスマス定理とは 「pが素数のとき p≢3 (mod 4) ⇔ x²+y²=p が整数解をもつ」 という定理のこと。ところで、次の定理が知られている: 定理(1798,ルジャンドル) nが自然数のとき n=4ᵏ(8m+7) (k,mは非負整数) ⇔ x²+y²+z²=n が整数解をもたないこ…

代数的数の近似と不定方程式(トゥエの定理)

突然だが、実代数的数の近似に関して、次のような定理がある。 定理(トゥエの定理) αをn次の実代数的数(nはもちろん2以上)、κ>n/2 + 1 とする。このとき、αとκで決まる正定数cが存在して、 がすべての有理数p/q に対して成り立つ。 ※これは近似しにくさを…

9999の加法定理、フィボナッチ数列の加法定理

不思議な計算がある。 (n桁), (n+1桁) とおくと、 となっているようだ。三角関数の加法定理にそっくりだ!これは、 となっていることに着目すると、 次の定理を使って示せる: 定理 とおくと、 証明: 復号の上側が, 下側が だから、和をとって .□ これに, ,…

素数冪を法とした、多項式の反復合成

まずは次の定理を示す。 fを整係数多項式、pを素数、a,tを整数、kを自然数とすると、 (証明) 多項式のテイラー展開より、ある整係数多項式g(x,y)が存在して、 あとはx=a, y=tpᵏ を代入すれば よって例えば 繰り返し適用して、任意の自然数nに対して aが法pᵏ…

組み合わせ数の合同式

pを素数とする。 この記事では、a≡b でa≡b(mod p) を表すこととする。 (定理)a,bを自然数、a>bとする。次が成り立つ。 ただし、 は二項係数 (と同じ)。証明: ここで、 だから、 α≢0 のとき、 また、 よって.

自然数の素数冪乗 a^(p^n)

pを素数とする。 (定理1)a≡b (mod pⁿ) のとき、aᵖ≡bᵖ (mod pⁿ⁺¹) 証明: a=b+tpⁿ と書けるから、 aᵖ=(b+tpⁿ)ᵖ=bᵖ + pbᵖ⁻¹(tpⁿ) + ₚC₂bᵖ⁻²(tpⁿ)² + ・・・ ≡bᵖ (mod pⁿ⁺¹)繰り返し適用してみよう。 のとき、 よって よって よって (定理2)のとき、 任意の自然…

p進連分数

p進数の世界でも、連分数を考えることができる!(収束する!) pを奇素数とする。 f(x)=x²-2x-p とおく。 f(x)=x(x-2)-p だから、f(0)≡0(mod p), f(2)≡0(mod p). また, f'(x)=2x-2 であり、f'(0)=-2≢0(mod p), f'(2)=2≢0(mod p). (pは奇素数より) よってヘン…

p進整数環のヘンゼルの補題

ヘンゼルとグレーテル。ℤₚをp進整数環とする。f(x)をℤₚ係数の多項式とする。 xₖ∊ℤₚが、f(xₖ)≡0(mod pᵏ), f'(xₖ)≢0(mod p) を満たしているとする。 このとき、あるxₖ₊₁∊ℤₚで、 xₖ≡xₖ₊₁(mod pᵏ), f'(xₖ₊₁)≢0(mod p), f(xₖ₊₁)≡0(mod pᵏ⁺¹) を満たすものが存在す…

推移的二項関係の隣接代数、行列表現

定義 集合P上の二項関係⊰が推移的であるとは、s⊰t かつ t⊰u ならばs⊰u を満たすことである。以下、Pを集合,⊰を推移的な二項関係とする。定義(区間、局所有限性) a,b∊P, a⊰bとする。区間[a,b]とは{p∊P|a⊰p かつ p⊰b}のこと。区間全体の集合をInt(P)と書く。 P…

推移律と行列の環

集合S={1,2, ... , N}に、二項関係⊰が入っているとする。Rを環とする。 R値のN×N 行列であって、i⊰j でないところでは i,j成分が0(Rの零元)であるような行列全体の集合I(R,N,⊰)を考える。 つまり ⊰が推移律を満たすとき、これは行列の加法と乗法によって環を…

冪級数、ディリクレ級数の一般化

モノイドMに対して、次のような条件を考える: (条件A)任意のx∊Mに対して、x=yz となるようなy,zの組は有限個。Mを条件Aを満たすモノイド、Rを環とする。関数 f:M→R 全体は、点ごとの加法によってアーベル群となる。ここに次のような積(畳み込み積)を考える…

Posetと隣接代数

今後隣接代数のことを書くとき、毎回定義から始めるのは大変だから、ここにまとめておこう。 ======= 定義 Poset(半順序集合, Partially ordered set) (P,⊰)とは、半順序⊰をもつ集合Pである。二項関係⊰が半順序であるとは、⊰が反射律、推移律、反対称…

隣接代数の畳み込みと数列の畳み込み

ja.wikipedia.org この記事では、上のページの「定義」に登場する記号を使用する。自然数ℕは、通常の大小関係によって局所有限半順序集合になる。そのため、隣接代数を考えることができる。 a:ℕ→ℂを数列とする。 (a*b)(n)=とする。 から隣接代数の元 を、と…

外積(ウェッジ積)と小行列式(3次のとき)

, とする。 とおくと、 の係数はMの第3,3小行列式、 の係数はMの第1,3小行列式、 の係数はMの第2,3小行列式になっている。少し考察してみよう。 であって、これを展開したとき、が出てくるのは の部分のみ。 そしてこれはに一致するから、結局小行列式になる…

ルベーグ測度メモ

ルベーグ積分はリーマン積分の拡張で、極限と相性がいいもの、とよく言われる。でもこれじゃよくわからない。まず、もっともらしい拡張になっているのか?それに、どんなアイデアで極限と相性が良くなったのか。「なんか頑張ったら極限と相性が良くなった」…

正多面体群と射影特殊線形群

正多面体群はSO(3)の部分群で、「素数との関係」という観点において対応する群がPSL(2,q)で、馴染まないなと思っていたが、ちょっと調べて、以下のことが分かった。どちらもPSLの話だと言うことができる。・SL(2,ℂ)の有限部分群には、正多面体が現れる。有限…

正多面体と素数の現象だけまとめ

橋本義武先生の「正多面体と素数」をよんだ。正多面体と素数 (放送大学教材)作者:橋本義武放送大学教育振興会Amazonそこに書いてあった正多面体と素数の関係を列挙しておく。 この謎の現象を理解するために、一旦まとめてみようという考え。1.面、辺、頂点…

ライプニッツの公式の二項定理(二項展開)による証明

ライプニッツの公式を、二項定理で証明する方法を思いついた。 偏微分による証明と、それを改良したテンソル積による証明を思いついた。 偏微分による証明 テンソル積による証明 偏微分による証明 、、 、 とする。 であり、連鎖律より つまり よって ここで…

意外なライプニッツ則(交換子のライプニッツ則)

Rを非可換環とする。A,X,YをRの元とし、を で定める。 このとき、 こんな単純な計算がライプニッツ則を満たすとは、意外でおもしろい。 証明も微分のそれと少し似ている。微分のライプニッツ則の証明:

指数関数とライプニッツの公式と二項定理(2)

をe^xをかける線形作用素とし、をxで1回微分する線形作用素とする。このとき、 (ただしIは恒等作用素) よってだから、二項定理より、作用素のなす環の二項定理で、ライプニッツの公式による結果 を導けた。次は二項定理でライプニッツの公式を完全証明した…

圏論の実例まとめ

圏論を使うと、異なる理論の異なる(が考え方が似ている)概念を、統一的に見ることができる。 例えば、群論における群の直積と、位相空間論の直積位相は、群の圏と位相空間の圏の、それぞれでの「圏論的積」というものになっている。 同様の例: ・集合の圏の…

ライプニッツの公式と指数関数と二項定理

. 一方だから、ライプニッツの公式より、 よって これは二項定理になっている。ちょっとおもしろい。

外積(ウェッジ積)と行列式

ベクトルのウェッジ積とは、双線型な演算で、を満たすもののこと。 このとき、より、が成り立つ(交代性)。 二次元のとき、とおくと、 じつは一般に、n本のn次元ベクトルについて、 が成り立つ。 これは、行列式は列に関する多重線形性, 交代性, そしてで特徴…

行列式とテンソル積

テンソル積は、すべての多重線形写像のもとになるという性質がある。 行列式は列に関する多重線形性がある多重線形写像だから、テンソル積から構成することができる。テンソル積の普遍性 :ベクトル空間とする。テンソル積は、次の「普遍性」をもつ: φを と…

母関数:OGFとEGFの変換

を数列とする。 数列a_nのOGF(ordinary generating function)とは, のこと。 数列a_nのEGF(exponential generating function)とは、 のこと。 からを、またからを求めるには、次のようにする: 実際、 であるし、 置換積分でt=-e^{iθ}とおくと (ただしCは、…

数列のp進補完

以下の定理を用いる。 定理:X,Yを距離空間とする。連続関数f,g:X→Y が、Xの稠密部分集合A上でf=gとなるとき、X上でf=gとなる。p進整数環ℤₚの部分集合ℕは稠密である。 証明:a∊ℤₚとし、ε>0を任意にとる。稠密とは、|a-a'| を を満たす自然数としたとき、 と…

母関数とラプラス変換・フーリエ変換の類似性

数列←→その母関数と、関数←→そのラプラス変換、関数←→そのフーリエ変換 は、とてもそっくりだ。 特に、畳み込みに関する性質と微分に関する性質がおもしろい。※フーリエ変換の定義はとする の母関数をそれぞれ のラプラス変換をそれぞれ, フーリエ変換をそれ…

有理数の稠密性を使って

有理数の稠密性を使ったおもしろい定理を考えた。 定理f(x)は実数から実数への連続関数で、xが有理数のときf(x)=1であるとする。このとき、任意の実数xでf(x)=1である。εδ論法と、有理数の稠密性で証明できる。 f(x)は連続関数だから、任意の実数αで、 任意…

5/14メモ

久しぶりの記事はメモ。 最近勉強していることは理解度が低く、 ひと記事ぶんになるくらいのストーリーを、自分でまとめて書くのは難しいので妥協。 以下メモ↓ ・グラフAが二つの連結成分A₁, A₂に分かれていて、しかもA₁, A₂が同型でないなら、 Aの自己同型…