数学大好き宣言!

勉強メモ。おもしろいことを探していきたい。

p進解析(1)冪級数の収束半径

p進解析(2)冪級数の原点での連続性 - 数学大好き宣言!
p進解析(3)一致の定理 - 数学大好き宣言!

pを素数とする。p進数体{\mathbb Q}_p上で、和S_n=S_n(\{a_k\}_k,t)=\displaystyle\sum_{k=0}^{n} a_k t^k(a_nはp進数列) の極限(点列と見て極限を取る)を考えよう。
定理:S_nが収束⇔a_n t^nがn→∞で0に収束
証明:
(⇒の証明)S_nが収束
S_nがコーシー列({\mathbb Q}_pは完備だから)
⇔任意のε>0に対してあるN∊ℕが存在して、m>n>N ならば |S_m - S_n|_p \lt \varepsilon
つまり |\displaystyle\sum_{k=n+1}^{m} a_k t^k|_p \lt \varepsilon
ここでnとしてm-1をとれば|a_m t^m|_p \lt \varepsilon
よってa_m t^mは0に収束する。
(⇐の証明)a_n t^nがn→∞で0に収束するから、任意のεに対してあるNが存在して、n>Nならば
|a_n t^n|\lt \varepsilon
よってm>n>Nのとき
|S_m - S_n|_p = |\displaystyle\sum_{k=n+1}^{m} a_k t^k|_p \leq \max\{|a_k t^k|_p |~~ n+1\leq k \leq m\} \lt \varepsilon
(強三角不等式を用いた)
よってS_nはコーシー列だから収束する。
(証明終)

この定理により、S_nに収束半径の概念があることが分かる:
定理:t∊{\mathbb Q}_p S_n(\{a_k\}_k,t) が収束するとき、|s|≤|t| となる任意のs∊{\mathbb Q}_p S_n(\{a_k\}_k,s)は収束する。
(証明) S_n(\{a_k\}_k,t) が収束するから、a_n t^nが0に収束。
一方|s|≤|t|より0\leq |a_n s^n|\leq |a_n t^n|だからa_n s^nは0に収束。よってS_n(\{a_k\}_k,s)は収束する。

系:t∊{\mathbb Q}_p S_n(\{a_k\}_k,t) が発散するとき、|s|≥|t| となる任意のs∊{\mathbb Q}_p S_n(\{a_k\}_k,s)は発散する。
証明: S_n(\{a_k\}_k,s)が収束すると仮定すると、|s|≥|t|より S_n(\{a_k\}_k,t)は収束するはずなので矛盾。

よって、 S_n(\{a_k\}_k,t)が収束するような|t|が有限なら、最大値をp^{-v}(vは整数)とすると(非有界のときはv=-∞)、|t|\leq p^{-v}のとき S_n(\{a_k\}_k,t)は収束し、|t|\geq p^{-v+1}のとき S_n(\{a_k\}_k,t)は発散する。
言い換えると、あるv\in{\mathbb Z}\cup \{-\infty\}が存在して、 \{t\in {\mathbb Q}_p | S_n(\{a_k\}_k,t)は収束 \}=p^v {\mathbb Z}_p (ℤₚはp進整数環)