数学大好き宣言!

勉強メモ。おもしろいことを探していきたい。

畳み込みについてのメモ

正整数から複素数への関数a,b:{\mathbb Z}_{\geq 0}\rightarrow {\mathbb C}に対して、演算*を、
(a*b)(n)=\displaystyle\sum_{k=0}^n a(k)b(n-k) で定める 。これを(離散)畳み込みという。
また、aから形式冪級数\displaystyle\sum_{n=0}^{\infty}a(n)X^nを作りだす操作を\phiとおく。

このとき、
\phi(a*b)=\phi(a)\phi(b).
実際\displaystyle f=\sum_{n=0}^{\infty}a(n)X^n,g=\sum_{n=0}^{\infty}b(n)X^nのとき、
fg=\displaystyle\sum_{m=0}^{\infty}\sum_{n=0}^{\infty}a(m)b(n)X^{m+n}だから、
x^Nの係数は\displaystyle\sum_{m+n=N} a(m)b(n)=\sum_{k=0}^N a(k)b(N-k)=(a*b)(N).

これは、フーリエ変換の畳み込み定理
{\mathcal F}(f*g)={\mathcal F}(f){\mathcal F}(g)
にそっくりだ。
その視点で見てみると、
フーリエ変換の定義式\displaystyle \int _{-\infty }^{\infty }f(x)e^{-2\pi ix\xi }\,dxは和\displaystyle\sum_{n=0}^{\infty}a(n)X^nに似ている。
xnが対応しており、f(x)a(n), e^{-2πiξ}X,\int\sumが変数まで対応している。
これはいったい何だろう???どんな解釈ができるだろうか?また、一般化できるか?

有理数の稠密性を使って

有理数の稠密性を使ったおもしろい定理を考えた。
定理f(x)は実数から実数への連続関数で、xが有理数のときf(x)=1であるとする。このとき、任意の実数xでf(x)=1である。

εδ論法と、有理数の稠密性で証明できる。
f(x)は連続関数だから、任意の実数αで、
任意のε>0に対してあるδ>0が存在して
|x-α|<δ⇒|f(x)-f(α)|<ε.
有理数の稠密性より、αとα+δの間にはある有理数aが存在し、
aは|a-α|<δを満たすから、
|f(a)-f(α)|<ε. aは有理数だから
|1-f(α)|<ε.
εは任意だから、f(α)=1.
これが任意の実数αで成り立つから、f(x)=1(定数関数)。

もう少し強く次も言える。
定理f(x),g(x)は実数から実数への連続関数で、xが有理数のときf(x)=g(x)であるとする。このとき、任意の実数xでf(x)=g(x).

証明
f(x),g(x)は連続関数だから、任意の実数αで、
任意のε>0に対してあるδ₁,δ₂>0が存在して
|x-α|<δ₁⇒|f(x)-f(α)|<ε,
|x-a|<δ₂⇒|g(x)-g(α)|<ε.
有理数の稠密性より、αとα+min{δ₁,δ₂}の間にはある有理数aが存在し、
aは|a-α|<δ₁,|a-α|<δ₂を満たすから、
|f(a)-f(α)|<ε,|g(a)-g(α)|<ε. aは有理数だから
|g(a)-f(α)|<ε.
よって
|g(α)-f(α)|=|g(α)-g(a)+g(a)-f(α)|<|g(α)-g(a)|+|g(a)-f(α)|<2ε.
εは任意だから、f(α)=g(α).
これが任意の実数αで成り立つから、f(x)=g(x).

5/14メモ

久しぶりの記事はメモ。
最近勉強していることは理解度が低く、
ひと記事ぶんになるくらいのストーリーを、自分でまとめて書くのは難しいので妥協。
以下メモ↓
・グラフAが二つの連結成分A₁, A₂に分かれていて、しかもA₁, A₂が同型でないなら、
Aの自己同型群は、A₁のものとA₂のものの直積。
例えば次のグラフの自己同型群はC₂ × S₃.
左の自己同型群がC₂, 右のはS₃だからだ。
f:id:mochi-mochi61:20210514230800p:plain

・X,Yを集合、P(X),P(Y) をそれぞれの部分集合全体とする。
f:P(X)→P(Y)が準同型とは、 f(x∩y)=f(x)∩f(y), f(xᶜ)=f(x)ᶜ, f(∅)=∅ を満たすことと定義する。
※このときf(x∪y)=f((xᶜ∩yᶜ)ᶜ)=f(x)∪f(y), f(x\y)=f(x∩yᶜ)=f(x)\f(y), f(X)=f(∅ᶜ)=∅ᶜ=Y.
このとき、f:P(X)→P(Y)はある写像g:Y→Xの逆像になることを見つけた。

・線形写像Φに逆写像があったら、それも線形写像であることは、線形性の定義に従って簡単に示せる。行列論を必要としない。

まあ続けやすい形でやっていきたい。勉強もブログも。

(3/15~)メモ

・K(k)をモジュラスkの第一種完全楕円積分,K'(k)=K(√(1-k))とする。K(λ)/K'(λ)=pK(k)/K'(k) (pは素数) を満たすときのλ^2, k^2の関係式は、ほとんどすべての素数ではp+1次だが、p=5,7,11のときに限りp次だという。ガロアが見つけたらしい。ところで、PSL(2,F_p) (F_pは位数pの有限体) はすべて(p+1)次対称群に埋め込めるが、p=5,7,11のときに限ってはp次対称群に埋め込めるらしい!!
・ちなみになぜPSL(2,F_p) (F_pは位数pの有限体) はすべて(p+1)次対称群に埋め込めるかというと、それが射影直線ℙ(F_p)に作用するからだ。射影変換だから。
・このp=5の場合を使って5次方程式の解の公式ができたらしい。
・これ↓に載っている。
link.springer.com
・↑この中で著者は、デデキントが実数の構成でしか広く知られていないことについて、数学の基礎付けの歴史は、歴史家や一般向けに解説する人たちによって強調されすぎている、と述べている。

・三次曲面上の直線(三次曲面の部分集合であるような直線)は、有限本である場合には高々27本らしい。また、四次曲線の二重接線の本数は最大で28本らしい。27本ある例のアルミニウム模型をヤマダ精機が作ったらしい。綺麗。→3次曲面上の27本の直線 | 東京大学大学院数理科学研究科理学部数学科・理学部数学科

・3/14日までで2021年の20%。

p進解析関数

p進解析を勉強した。↓メモ↓

問題 p進数の世界でも、指数関数exp(x)や対数関数log(x), 三角関数sin(x)などを考えられるだろうか?

この問題をどのように考えるか。1つのアプローチとして、冪級数\sum_{n=0}^{\infty}a_n x^nを考えて(例えばexp(x)ならa_n=1/n!を考えて)、これがある範囲でp進収束するなら、それを冪級数が表す関数のp進版とする、という方法が考えられる。他にも、積分を用いたりなど色々方法はあるだろうが、今回はこの冪級数の方法で考えてみよう。(補足:p進→p進の関数の積分は定義が困難で、素朴に定義することができない。いい方法とは言えないかもしれない。)

そうするとつまり、\sum_{n=0}^{\infty}a_n x^nの収束(xがどんな値のとき収束するのか)を考えねばならないことになる。もっと一般に、p進無限級数の収束判定を考えてみよう。コーシー列の考え方(コーシーの判定法)より、\sum_{n=0}^{\infty}a_nが収束することは、m,n→∞のとき\sum_{k=m}^{n} a_k \rightarrow 0となることと同値である。実はこの条件、かなり単純化できる。

強三角不等式を使ってみよう。

m,n→∞のとき\sum_{k=m}^{n} a_k \rightarrow 0とは、m,n→∞のとき|\sum_{k=m}^{n} a_k|_p が実数列として0に収束するということ。ここで強三角不等式より、
\displaystyle \left|\sum_{k=m}^{n} a_k \right|_p \leq \max \{ |a_m|_p, |a_{m+1}|_p, \cdots ,|a_n|_p \}だから、|a_n|_p \rightarrow 0(つまりa_n \rightarrow 0)(n→∞) であれば\sum_{k=m}^{n} a_k \rightarrow 0は成り立ち、\sum_{n=0}^{\infty}a_nは収束する。
一方で逆、つまり「\sum_{n=0}^{\infty}a_nが収束するならばa_n \rightarrow 0(n→∞)」は成り立つ。
よって結局\sum_{n=0}^{\infty}a_nが収束することとa_n \rightarrow 0(n→∞)とは同値!
定理 \sum_{n=0}^{\infty}a_nが収束する~\Leftrightarrow~a_n \rightarrow 0(n→∞)

では、これを使って、早速\sum_{n=0}^{\infty} \frac{x^n}{n!}の収束・発散を調べよう。これが収束すれば、その範囲での値はexp(x)のp進版と呼べるはずだ。先ほどの収束判定法より、これの収束を調べるということは、つまり次の問題を考えることになる。
問題 数列~x^n/n! がp進的に0に収束するようなxの範囲を求めよ。


|x|_p \geq 1のときに~x^n/n!は0に収束しないことはすぐにわかる。なぜなら分子のx^nはpで割れず(p進絶対値が1より小でなく)、分母はp進絶対値を小さくしない(むしろ大きくする)からだ。

|x^n/n!|_p=|x|_p^n / |n!|_p=p^{-\{n\cdot v_p(x) - v_p(n!)\}} だから、|x|_p \lt 1のときにはv_p(n!) ,つまりn!に含まれる素因数pの個数を調べる必要がある。
階乗の素因数の公式v_p(n!)=\sum_{k=1}^{\infty} \lfloor n/p^k \rfloor (ただし\lfloor ~\rfloorは床関数(ガウス記号)) を使おう。これによって、
v_p(x^n/n!)=n\cdot v_p(x)-\sum_{k=1}^{\infty} \lfloor n/p^k \rfloor がわかる。
これが∞に発散するのがx^n/n!が0に収束するとき。

床関数だから、
n\cdot v_p(x)-\sum_{k=1}^{\infty} \lfloor n/p^k \rfloor \geq n\cdot v_p(x)-\sum_{k=1}^{\infty} n/p^k \\= n\cdot v_p(x) - \frac{np^{-1}}{1-p^{-1}} =n(v_p(x)-\frac{1}{p-1})
ここまで来ればもう分かる。v_p(x)-\frac{1}{p-1} が正なら、v_p(x)-\frac{1}{p-1} \rightarrow \infty(n→∞)よりv_p(x^n/n!) \rightarrow \infty(n→∞).
それはどんなときかと言うと、pが2の場合はv_p(x) \geq 2のとき、それ以外はv_p(x) \geq 1のとき。

|x|_p \geq 1つまりv_p(x) \leq 0のときには、~x^n/n!は0に収束しないのだから、pが奇素数のときには、v_p(x) \geq 1~x^n/n!が0に収束する必要十分条件を与えている。p=2のときには、まだv_p(x)=1 のときどうなるか?が試されていない。
p=2,v_p(x)=1のとき、~x^n/n!の部分列x^{2^m}/(2^m)!をとろう。v_2(x^{2^m}/(2^m)!) = 2^m - \sum_{k=1}^{\infty} \lfloor 2^m/2^k \rfloor \\ =2^m - \sum_{k=1}^{m} 2^{m-k}=1.
よって部分列が0に収束しないから、~x^n/n!は0に収束しない。
よってp=2のときは、v_2(x) \geq 2必要十分条件であることが分かった。

v_p(x) \geq nとなるp進体の部分集合は p^n{\mathbb Z}_p だから、結局次が分かった:
定理 \sum_{n=0}^{\infty} \frac{x^n}{n!} がp進収束する \Leftrightarrow 「p=2かつx\in 4{\mathbb Z}_2」または「p≠2かつx\in p{\mathbb Z}_p

今回はここまでにしておく。logやsin, arcsin ではどうなるだろうか。

(3/13~)メモ

http://www.math.kochi-u.ac.jp/docky/kogi/kogi2019_2/kashikojima_lecture/lecture.pdf←「虚数乗法論とreciprocity」というpdf. 類体論のおもしろい具体例がたくさん載っていたり、p進数、アデールイデール、ガロア群の幾何学的イメージなどいろいろ述べられている。数論が専門でない数学者の方にも向けた講演だったらしいので、それで基礎から解説してあるのだろう。

・p進数体上の加法的測度μを\mu (a+p^n {\mathbb Z}_p)=1/p^n (a+p^n {\mathbb Z}_p =\{a+x|x\in p^n {\mathbb Z}_p \})で定めると、これは加法群としてのp進体上のハール測度になるらしい。なぜこれで定義できるかというと、{\mathbb Q}_p上の任意のコンパクト開集合Uは、有限個の互いに素なa+p^n {\mathbb Z}_pの和集合で表せるらしい。よってボレル集合族上でμの値を定義できる。μが平行移動不変になっていることは定義からすぐ分かる。μを使って、ルベーグ積分論によってp進積分を定義できる。

・実は\mu (a+p^n {\mathbb Z}_p)=1/p^nは、平行移動不変、加法的、μ(ℤₚ)=1の三つの仮定から導ける。例として\mu (a+p {\mathbb Z}_p)=1/pを導こう。まず{\mathbb Z}_p=p{\mathbb Z}_p\cup(1+p{\mathbb Z}_p) \cup  \cdots \cup (p-1+ p{\mathbb Z}_p)だから、\mu({\mathbb Z}_p)=\mu(p{\mathbb Z}_p) + \mu(1+p{\mathbb Z}_p) +  \cdots + \mu(p-1+ p{\mathbb Z}_p). よって平行移動不変性より \mu({\mathbb Z}_p) = p\mu(p{\mathbb Z}_p) だから、\mu(p{\mathbb Z}_p)=1/p. よって平行移動不変性より\mu (a+p {\mathbb Z}_p)=1/p.

・単数は、どんな素イデアルでも割れないわけだから、任意の非アルキメデス的付値での値が0であると特徴付けられる。さらに無限素点でも|x|=1であるという条件をつけ加えることもできる。それにどんな意味があるかは分からないが。

ガロアの最後の手紙には、PSL(2,F)(Fは有限体、|F|>3)が単純群であることが述べられているらしい。

・↑それだけではなく、置換群への埋め込みについても考察されているらしい。

・奇数位数の群は可解群らしい!

・楕円関数の周期とモジュラスについて→https://www2.tsuda.ac.jp/suukeiken/math/suugakushi/sympo02/2_2kasahara.pdf 前半は周期の一方をn倍したり1/n倍したりする話。例えばワイエルシュトラスの楕円関数\wp(z,w_1,w_2)のw_1をn倍し、zをn倍した関数\wp(nz,nw_1,w_2)を考えると、これは再び周期w_1,w_2をもつ楕円関数になる。実際\wp(n(z+w_1),nw_1,w_2)=\wp(nz+nw_1,nw_1,w_2)=\wp(nz,nw_1,w_2), \wp(n(z+w_2),nw_1,w_2)=\wp(nz+nw_2,nw_1,w_2)=\wp(nz,nw_1,w_2)(w_2を周期にもつなら、当然nw_2も周期にもつ。)よってこれは\wp(z,w_1,w_2)の有理式で表せるよね、という話と、このときw_2/w_1がn分の1になっているが、j(τ)とj(τ/n)の関係はどうなっているだろう、というような話。

楕円積分とガンマ関数について調べたことまとめ

\displaystyle\int_0^1 \frac{dx}{\sqrt{1-x^4}} = \int_1^{\infty} \frac{dy}{\sqrt{4y^3-4y}}らしい。y=1/x^2, x^2=1/y の変数変換で移りあうようだ。
・ベータ関数の公式より、一般のフェルマー曲線の周期をΓ関数で表すことができる。
・K'/Kが√rになるときの楕円積分はガンマ関数で表せることを、chowlaとselbergが示した。例:
r=1のとき K=\displaystyle\frac{(\Gamma(1/4))^2}{4\sqrt{\pi}}
r=5のとき K=\displaystyle\sqrt[4]{2+\sqrt{5}} \sqrt{\frac{\Gamma(1/20)\Gamma(3/20)\Gamma(7/20)\Gamma(9/20)}{160\pi}}
・実は、chowlaとselbergはもっと一般の場合に、もっと具体的な表示まで求めている:dを負の整数で、 d≡0,1(mod 4) で、dかd/4は平方因子をもたないものとする。 h=h(d)を判別式dの虚二次体の類数, wをその整数環の単数の個数とする。iK'/KがQ(√d)の元であるとき、(a/b)をクロネッカー記号, λをある代数的数として
K=\displaystyle \lambda \sqrt{\pi} \left( \prod_{m=1}^{|d|}\Gamma \left(\frac{m}{|d|} \right)^{(d/m)} \right)^{w/4h}
が成り立つ。
・上の特殊ケースとして、K'/K=√p (pは素数), h(-p)=1のとき、
2K/\pi = \displaystyle \frac{\sqrt[3]{2}}{(k \sqrt{1-k^2})^{1/6} \sqrt{2\pi p}} \left( \frac{\prod\Gamma (\alpha/p)}{\prod \Gamma (\beta/p) } \right)^{w/4}
ただしwは、p=3のときw=6, p>3のときw=2で, αは0からp-1までの (p-1)/2 個の 法pの平方剰余を渡り, βは残る(p-1)/2 個の0から p-1 までの数を渡る。
・これらの結果はEpsteinのゼータ関数というものを研究して得られるらしい。
・具体的に求めてみよう。d=-20とすると、h=2, w=2. クロネッカー記号を計算しておこう。(-20/1)=1, (-20/2)=0, (-20/3)=1, (-20/5)=0, (-20/7)=1, (-20/11)=-1, (-20/13)=1, (-20/17)=1, (-20/19)=-1だから、(-20/2n)=0, (-20/9)=1, (-20/15)=0. よって、iK'/KがQ(√d)の元であるとき、
K=\lambda\sqrt{\pi}\left( \frac{\Gamma(1/20)\Gamma(3/20)\Gamma(7/20)\Gamma(9/20)\Gamma(13/20)\Gamma(17/20)}{\Gamma(11/20)\Gamma(19/20)} \right)^{1/4}
このあとどう変形するかわからない。
・これは虚数乗法をもつアーベル多様体に一般化されるようだ:CiNii 論文 -  絶対CM周期について

超幾何級数と連分数(₁F₁の場合)

F(a,b;z)=\displaystyle\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(a)_nz^n}{n!(b)_n} (ただし(a)_n=a(a+1)\cdots(a+n-1)はポッホハマー記号)とおくと、これは隣接関係式と呼ばれる次の2式を満たす:
F(a,b-1;z)-F(a+1,b;z)=\displaystyle\frac{(a-b+1)z}{b(b-1)}F(a+1,b+1;z)
F(a,b-1;z)-F(a,b;z)=\displaystyle\frac{az}{b(b-1)}F(a+1,b+1;z)
これらを示す。
一番目の式:
まず、
(b-1)(b)_n=(b-1)b(b+1)\cdots (b+n-1)=(b-1)_{n+1},\\(b-1)_n(b+n-1)=(b-1)b\cdots (b+n-2)(b+n-1)=(b-1)_{n+1}
さらに、
(a+1)_n=(a+1)(a+2)\cdots(a+n-1)(a+n)=(a+1)_{n-1}(a+n),\\(a)_n=a(a+1)\cdots(a+n-1)=a(a+1)_{n-1}
以上より
\,\,\,\,\displaystyle\frac{(a)_n}{(b-1)_n}-\frac{(a+1)_n}{(b)_n}\\=\displaystyle\frac{(a)_n(b+n-1)-(a+1)_n(b-1)}{(b-1)_{n+1}}\\=\displaystyle\frac{\Bigl(a(b+n-1)-(a+n)(b-1) \Bigr)(a+1)_{n-1}}{(b-1)_{n+1}}\\=\displaystyle\frac{(a-b+1)n(a+1)_{n-1}}{(b-1)b(b+1)_{n-1}}

z^n/n!をかけて

\displaystyle\frac{(a)_n z^n}{(b-1)_n n!}-\frac{(a+1)_n z^n}{(b)_n n!}=\displaystyle\frac{(a-b+1)n(a+1)_{n-1}z^n}{(b-1)b(b+1)_{n-1}n!}\\=\displaystyle\frac{(a-b+1)z}{(b-1)b}\frac{(a+1)_{n-1} z^{n-1}}{(n-1)!(b+1)_{n-1}}

n=1から∞まで和をとって

(F(a,b-1;z)-1)-(F(a+1,b;z)-1)\\=F(a,b-1;z)-F(a+1,b;z)=\displaystyle\frac{(a-b+1)z}{(b-1)b}F(a+1,b+1;z)

二番目の式は簡単。前回↓
超幾何級数と連分数(₀F₁の場合) - 数学大好き宣言!
で示した式:
\displaystyle \frac{1}{n!(a-1)_n }z^n-\frac{1}{n!(a)_n }z^n=\frac{z}{(a-1)a}\frac{z^{n-1}}{(n-1)!(a+1)_{n-1}}
のaをbに書き換え、さらに両辺に(a)_nをかけると
\displaystyle \frac{(a)_n}{n!(b-1)_n }z^n-\frac{(a)_n}{n!(b)_n }z^n=\frac{z}{(b-1)b}\frac{(a)_n z^{n-1}}{(n-1)!(b+1)_{n-1}}
              =\displaystyle\frac{az}{(b-1)b}\frac{(a+1)_{n-1} z^{n-1}}{(n-1)!(b+1)_{n-1}}
よって両辺のn=1から∞までの和をとってF(a,b-1;z)-F(a,b;z)=\displaystyle\frac{az}{b(b-1)}F(a+1,b+1;z)を得る。

あとはこれを用いて前回同様展開していけば{\displaystyle {\frac {F(a+1,b+1;z)}{F(a,b;z)}}={\cfrac {1}{1+{\cfrac {{\frac {a-b}{b(b+1)}}z}{1+{\cfrac {{\frac {a+1}{(b+1)(b+2)}}z}{1+{\cfrac {{\frac {a-b-1}{(b+2)(b+3)}}z}{1+{\cfrac {{\frac {a+2}{(b+3)(b+4)}}z}{1+{}\ddots }}}}}}}}}}}

こちらも参照↓
ja.wikipedia.org

電気回路と行列(補足)

前回↓mochi-mochi61.hatenablog.com
今回は電位・電位差との関係を考える。
頂点v_kでの電位がV(v_k)であるとする。このとき{\bf V}=\begin{pmatrix}V(v_1)\\V(v_2)\\ \vdots\\V(v_m)\\\end{pmatrix}とする。
{\bf V}Aの転置行列{}^t Aをかけてみよう。
  {}^t A=\begin{pmatrix}a_{1,1}&a_{2,1}&\cdots&a_{m,1}\\a_{1,2}&a_{2,2}&\cdots&a_{m,2}\\\vdots&\vdots&&\vdots\\a_{1,n}&a_{2,n}&\cdots&a_{m,n}\\\end{pmatrix}
だから、素直に{}^t A{\bf V}を計算すると、{}^t A{\bf V}の第j成分は
\displaystyle\sum_{i=1}^{m}a_{i,j}V(v_i)
a_{i,j}の定義は、v_i={\rm end}(e_j)なら1,v_i={\rm st}(e_j)なら-1,どちらでもないなら0というものだった。よって
\displaystyle\sum_{i=1}^{m}a_{i,j}V(v_i)=V({\rm end}(e_j))-V({\rm st}(e_j))
これは{\rm end}(e_j){\rm st}(e_j)の電位差である。よって{}^t A{\bf V}は各辺の前後の電位差を並べたベクトルになる。e_kの前後の電位差をE_k{\bf E}=\begin{pmatrix}E_1\\E_2\\ \vdots\\E_n\\\end{pmatrix}と書くことにすると、これは{}^t A{\bf V}={\bf E}と書ける。
短いが、以上。

(3/9~)メモ

・算術幾何平均を使った円周率の近似:a_0=1, b_0=1/√2, S_0=1/4, a_{n+1}=(a_n+b_n)/2, b_{n+1}=√(a_n+b_n), S_{n+1}=S_n+2^n(a_{n+1}^2+b_{n+1}^2)とおくと、n→∞のときS_n→πらしい。
・漸化式a_{n+2}=Aa_{n+1}+Ba_nを満たす数列a_nにおいて、b_n=a_{n+1}/a_n とおくと、b_{n+1}=a_{n+2}/a_{n+1}=(Aa_{n+1}+Ba_n)/a_{n+1} =A+B/b_n. b_n=a_n/a_{n+1}とおくと、b_{n+1}=a_{n+1}/(Aa_{n+1}+Ba_n)=1/(A+Bb_n). ところで、(正則)連分数はx=1/(A+Bx) (A,Bは整数)に繰り返し代入したものだ。
・skolemの方法すごい!^3-2y^3=1が有限個の解しかもたないことを示す。不定方程式x^3-2y^3=1は,N(x-yα)=1 (α=三乗根2)と書き換えられる。一方ディリクレの単数定理よりQ(α)の単数は1つのεで生成されるから、x-yα=ε^n. ε^k=x+yα+zα^2 とする。このとき共役をとってε'^k=x+yωα+zω^2α^2, ε''^k=x+yω^2α+zωα^2. よって3z=(ε^n+ωε^n+ω^2ε^n)=0. これはnについての方程式だから、これが有限個の解しかもたないと期待したい。それを示すためにp進解析を使う!! もしさっきの方程式が無限個の整数解をもつなら、p進整数環がコンパクトであることより、(ε^n+ωε^n+ω^2ε^n)の零点は集積点をもつから、p進解析版"一致の定理"よりε^n+ωε^n+ω^2ε^nは零関数となり矛盾!
・相互法則=reciprocity law。 reciprocate:交換する、往復する。素数を交換する法則。

超幾何級数と連分数(₀F₁の場合)

F(a;z)=\displaystyle\sum_{n=0}^{\infty}\frac{1}{n!(a)_n }z^n\\=\displaystyle 1+\frac{1}{a}z+\frac{1}{2a(a+1)}z^2+\frac{1}{6a(a+1)(a+2)}z^3+\cdots
(ただし(a)_n=a(a+1)(a+2)\cdots (a+n-1)はポッホハマー記号)
とおくと、これは隣接関係式と呼ばれる次の関係式を満たす:
F(a-1;z)-F(a;z)=\displaystyle\frac{z}{(a-1)a}\cdot F(a+1;z)
証明:
\displaystyle\frac{1}{n!(a-1)_n }z^n-\frac{1}{n!(a)_n }z^n\\=\displaystyle\frac{z^n}{n!} \left(\frac{1}{(a-1)_n}+\frac{1}{(a)_n} \right)
ここで、
(a-1)(a)_n=(a-1)a(a+1)(a+2)\cdots (a+n-1)=(a-1)_{n+1},\\(a-1)_n(a+n-1)=(a-1)a(a+1)(a+2)\cdots (a+n-2)(a+n-1)=(a-1)_{n+1}だから、
\displaystyle\frac{z^n}{n!} \left(\frac{1}{(a-1)_n}+\frac{1}{(a)_n} \right)\\=\displaystyle\frac{z^n}{n!}\left( \frac{a+n-1-(a-1)}{(a-1)_{n+1}} \right) \\=\displaystyle\frac{z^n}{(n-1)!(a-1)_{n+1}}\\=\displaystyle \frac{z}{(a-1)a}\frac{z^{n-1}}{(n-1)!(a+1)_{n-1}}
よって\displaystyle \frac{1}{n!(a-1)_n }z^n-\frac{1}{n!(a)_n }z^n=\frac{z}{(a-1)a}\frac{z^{n-1}}{(n-1)!(a+1)_{n-1}}
両辺のn=1から∞までの和をとって
(F(a-1;z)-1)-(F(a;z)-1)=\displaystyle\frac{z}{(a-1)a}F(a+1;z)
よって
F(a-1;z)-F(a;z)=\displaystyle\frac{z}{(a-1)a}F(a+1;z)
この隣接関係式の両辺をF(a;z)でわり、
\displaystyle\frac{F(a-1;z)}{F(a;z)}-1=\frac{z}{(a-1)a}\frac{F(a+1;z)}{F(a;z)}
よって
\displaystyle\frac{F(a;z)}{F(a-1;z)}=\cfrac{1}{1+\cfrac{z}{(a-1)a}\cfrac{F(a+1;z)}{F(a;z)}}
よってF(a;z)/F(a-1;z)=g(a), z/{(a-1)a}=k(a)とおくと、
g(a)=\cfrac{1}{1+k(a)g(a+1)}=\cfrac{1}{1+\cfrac{k(a)}{1+k(a+1)g(a+2)}}\\=\displaystyle{\cfrac {1}{1+{\cfrac {k(a)}{1+{\cfrac {k(a+1)}{1+{\cfrac {k(a+2)}{1+{}\ddots }}}}}}}}
よってaをa+1に置き換えて次を得る:
{\displaystyle {\frac {F(a+1;z)}{F(a;z)}}={\cfrac {1}{1+{\cfrac {{\frac {1}{a(a+1)}}z}{1+{\cfrac {{\frac {1}{(a+1)(a+2)}}z}{1+{\cfrac {{\frac {1}{(a+2)(a+3)}}z}{1+{}\ddots }}}}}}}}}
※もちろん、ゼロ割にならないようにaを選ばなければならない。

電気回路と行列

電流をグラフ理論的に。
グラフ理論における「グラフ」とは、下のような、頂点を辺でつないだもののこと。

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グラフの例

回路はグラフと見なせる。このとき回路素子はひとつの辺に最高一つになるようにする。例えば下のように↓

f:id:mochi-mochi61:20210307233057p:plain
グラフ化

このようにして回路はグラフに見立てられる。
もっと複雑な回路でもできる。
今回は素子として電源と抵抗だけのものを扱う。
グラフの辺に下のように向きを決める。これは勝手に決めていい。辺に向きを決められたグラフのことを有向グラフという。

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向きを決める

グラフを数式で扱うための準備をしよう。
まずグラフの頂点と辺に番号を振る。頂点の個数をmとし、頂点をv_1,v_2,\cdots v_mとする。
このようになる↓
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つぎに辺。辺の本数をnとし、辺をe_1,e_2,\cdots e_nとする。
このようになる↓
f:id:mochi-mochi61:20210307233205p:plain
e_kに対して、辺の向きとして向かっていくほうの点を終点といい、end(e_k)と書くことにする。逆に、行き先の反対のほうの点を始点といい、st(e_k)と書くことにする。例を見よう↓
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ある頂点v_kに対して、v_kを終点にもつような辺全体の集合をIn(v_k)と書き、v_kを始点にもつような辺全体の集合をOut(v_k)と書く。
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また、頂点と辺の組v_i,~e_jに対して、a(v_i,e_j)あるいはa_{ij}を、v_i=end(e_j)なら1,v_i=st(e_j)なら-1, どちらでもないなら0と定める。
このときm×n行列A={\displaystyle {\begin{pmatrix}a_{1,1}&a_{1,2}&\cdots&a_{1,n}\\a_{2,1}&a_{2,2}&\cdots&a_{2,n}\\\vdots&\vdots&&\vdots\\a_{m,1}&a_{m,2}&\cdots&a_{m,n}\\\end{pmatrix}}}=(a_{i,j})_{i,j}
をグラフの接続行列という。
例を見よう↓↓
f:id:mochi-mochi61:20210307233312p:plain
e_kを流れる電流が、決めたe_kの向きの方向にI_kの大きさだとしよう。(逆向きなら値を負にとる。)
{\bf I}={\begin{pmatrix}I_1\\I_2\\\vdots\\I_n\\\end{pmatrix}}と定める。
接続行列Aをベクトル{\bf I}にかけてみよう。A{\bf I}の第i成分は\displaystyle\sum_{j=1}^n a_{i,j}I_j = \sum_{e_j\in In(v_i)}I_j - \sum_{e_j\in Out(v_i)}I_jだから、キルヒホッフの法則A{\bf I}={\bf o}である。

いくつかの数論的関数とゼータ関数

ゼータ関数と数論的関数の関係、特に反転公式とゼータ関数の関係がおもしろい。
まずディリクレ級数の積を計算しておく。
\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty} \frac{a_n}{n^s}\sum_{n=1}^{\infty} \frac{b_n}{n^s}=\sum_{m=1}^{\infty}\sum_{n=1}^{\infty}\frac{a_m b_n}{(mn)^s}
だから、この積の\frac{1}{n^s}の係数をc_nとおくと、
c_n=\displaystyle\sum_{ij=n}a_i b_j=\sum_{d|n}a_d b_{n/d}.
\displaystyle\zeta(s)=\sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n^s}とおく。

次に約数関数d(n), メビウス関数μ(n)を導入する。
定義
(1)d(n)=(nの約数の個数)を約数関数という。
(2)メビウス関数μ(n)とは、nが平方因子をもつときμ(n)=0,nが相異なるk個の素数の積のときμ(n)=(-1)^k と定められる関数である。
次が成り立つ。
定理
(1)\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty} \frac{d(n)}{n^s}=\zeta(s)^2
(2)\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty} \frac{\mu(n)}{n^s}=\frac{1}{\zeta(s)}
証明
(1)\displaystyle\zeta(s)^2=\sum_{n=1}^{\infty}\sum_{d|n}\frac{1}{n^s}=\sum_{n=1}^{\infty} \frac{d(n)}{n^s}
(2)μ(n)は乗法的関数だから、左辺はオイラー積に分解でき、
\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty} \frac{\mu(n)}{n^s}=\prod_{p:素数}\sum_{k=0}^{\infty}\frac{\mu(p^k)}{p^{ks}}=\prod_{p:素数}\left(1-\frac{1}{p^s} \right)=\frac{1}{\zeta(s)}

定理(メビウスの反転公式)
f,gを自然数上の関数とする。
\displaystyle f(n)=\sum_{d|n} g(d)~~\Rightarrow~~g(n)=\sum_{d|n}\mu(d)g(n/d)
証明:f(n),g(n)のディリクレ級数をそれぞれF(s),G(s)とおく。条件式とディリクレ級数の積よりF(s)=G(s)\zeta(s)だから、G(s)=F(s)\zeta(s)^{-1}=F(s)\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty} \frac{\mu(n)}{n^s}.よってディリクレ級数の積より求める式が示された。

(3/5~)メモ

・fを閉リーマン面X上の有理型関数、gを閉リーマン面からそれ自身への正則写像とすると、fとgの合成もX上の有理型関数だから、Xの関数体に属する。よってfとの代数的な関係式をもつ。例:モジュラー群の基本領域はリーマン球面と見なせ、PSL(2,R)による変換はその正則な変換だから、fをモジュラー関数、PSL(2,R)の元をgとしたとき、f(z)とf(g(z))は代数的な関係式をもつ。
・実数の世界では、整数部分を取り去ってから逆数をとる、という操作で連分数展開をつくることができたが、p進数の世界でも、p進展開したときの、指数が0以下の部分を取り去ってから逆数をとる、という操作で連分数を作れる。
グロス・スターク予想というスターク予想のp進類似が解決したらしい。実二次体の類体を構成していた。このプレプリントの結果は、志村の虚数乗法論のアナロジーを含むらしい。(虚数乗法論のアナロジーで問題が解けた、というわけではなさそう)arxiv.org
・志村の虚数乗法論とは、楕円曲線虚数乗法の結果を、虚数乗法をもつアーベル多様体に一般化したものだ。
・スターク予想というのがあって、それが正しいとすると、ある条件のもとで、スターク単数というものの添加で類体が構成できるらしい。
・スターク単数を多重ガンマ関数で計算する新谷公式というのがあるらしい。
・スターク予想のp進類似は、ℚ上は証明済みだったらしい。(gross,栗原によって)
・このプレプリントの著者は、既に部分的には証明をしていたらしく、いくつかの解説資料がある。日本語の解説:https://www.ma.noda.tus.ac.jp/u/ha/SS2012/Data/kawamura.pdf
・スターク予想には、少し仮定を増やし主張を弱めた「rank 1 abelian stark conjecture」(ランク1アーベルスターク予想?)というのがあるらしく、それも単にスターク予想と呼ぶようだ。"スターク単数"と呼ばれる概念はランク1のものらしい。類体構成の解を与えるのも、ランク1バージョンらしい。上のプレプリントで扱われているのも、そのバージョンだ。ランク1でないより強いバージョンは非可換スターク予想と呼ばれるらしい。
・元のスターク予想にも、ランク1のスターク予想にも、「テイトによる再定式化」があるらしい。