微分方程式と整数論(不定方程式)
特定の線形微分方程式の解空間の次元に、ディオファントス方程式の整数解の個数が現れてくる話。
(λは定数)を、周期的境界条件のもと解こう。
周期関数だから、fをフーリエ級数展開して とおき、両辺に代入すると
係数を比較して
よってまたは
の解は有限個だから、
一般解は
ただしは任意定数。(有限なので、収束は考えなくてよい)
よって解空間の次元はの整数解の個数に一致する!(固有値λに対応する固有空間の次元と言っても同じ)(もちろんλが非正整数のとき以外は解なし。)
一般化しておく。
を 多項式とし、各を に置き換え、定数を定数倍作用素に置き換えた作用素を
と書く。
(例)
定理:微分方程式 の、周期的境界条件のもとでの解のなすベクトル空間の次元は、の整数解が有限個なら、その個数。
証明:全く同じ方針。fをフーリエ級数展開して、に注意して微分方程式に代入すると、
(ただしはフーリエ係数)
よって一般解は (は任意定数)
よって次元はの整数解の個数。
・周期的という条件を外して、fをフーリエ変換する方針だと、非整数解も許してしまう。周期性によって整数解に制限することができたと言える。
・周期性条件は、トーラス上で解いたと言い換えることもできる。もっと他の曲面上ではどうなるだろうか。