数学大好き宣言!

勉強メモ。おもしろいことを探していきたい。

数オリ(素数生成多項式の問題)

1987年の数学オリンピックの第六問「n2以上の整数とする.\displaystyle 0\leqq k\leqq \sqrt{\frac{n}{3}}をみたす任意の整数kに対して,k^2 + k + n素数ならば,0\leqq k\leqq n-2をみたす任意の整数kに対して,k^2+k+n素数であることを示せ.」
の解答をメモ。
前半の条件を仮定する。つまり、\displaystyle 0\leqq k\leqq \sqrt{\frac{n}{3}}をみたす任意の整数kに対して,k^2 + k + n素数だと仮定する。
mf(m)合成数になる最小の自然数とする。
このとき、n-2\lt mつまりn-1\leq mを示せばいい。
まず仮定より、m\gt \sqrt{\frac{n}{3}}つまり3m^2\gt n
f(m)を割り切る最小の素数pとする。このとき、
p^2\leq m^2+m+n\lt m^2+m+3m^2\\=4m^2+m\lt 4m^2+4m+1=(2m+1)^2
よってp\lt 2m+1つまりp\leq 2m.・・・(1)
ここで、f(m)-f(k)=(m^2+m+n)-(k^2+k+n)\\=m^2-k^2+m-k=(m-k)(m+k)+m-k\\=(m-k)(m+k+1)
だから、
\displaystyle\prod_{k=0}^{m-1}\bigl(f(m)-f(k)\bigr)=\prod_{k=0}^{m-1}(m-k)(m+k+1)\\=m(m+1)\cdot(m-1)(m+2)\cdot(m-2)(m+3)\cdots\cdot1\cdot 2m\\=(2m)!
(1) p\leq 2mよりp|(2m)!(a|bでaがbを割り切る)だから、p|\displaystyle\prod_{k=0}^{m-1}(m-k)(m+k+1)
よって、ある整数l~(0\leq l\leq m-1)が存在してp|(m-l)(m+l+1).
このときp|m-lp|m+l+1だから、p\leq m+l+1\cdots(2)
また、(m-l)(m+l+1)=f(m)-f(l)だからp|f(m)-f(l)でもある。
p|f(m)だからp|f(l).
l\leq m-1だから、mの最小性よりf(l)素数で、f(l)=p.
よってp=l^2+l+nだからp-l=l^2+n
(2)と合わせて
m+1\geq p-l=l^2+n\geq n
よってm+1\geq nつまりn-1\leq m.
これが示したいことであった。

(感想)
0\leqq k\leqq n-2をみたす任意の整数kに対して,k^2+k+n素数
n素数で、{\mathbb Q}(\sqrt{1-4n})の類数が1」
が知られているから、
\displaystyle 0\leqq k\leqq \sqrt{\frac{n}{3}}をみたす任意の整数kに対して,k^2 + k + n素数
n素数で、{\mathbb Q}(\sqrt{1-4n})の類数が1」
が分かる。これを直接示すことはできないのだろうか。(※nが素数なのはk=0を考えれば自明)