数学大好き宣言!

勉強メモ。おもしろいことを探していきたい。

環論メモ(極大イデアルによる剰余環)

{\mathbb Z}/ n{}\mathbb Z は、nが素数のときのみ体になる。これは整数論で有用だ。これを一般化しよう。

今回の主定理
A:環, I\subset A:イデアルとする。このとき、
Iは極大イデアル\Leftrightarrow剰余環A/Iは体。

まず次の補題を示す。
補題
Rが体\LeftrightarrowRイデアル\{0\}R自身のみである。
証明
まず、Rが体であるとする。I\subset Rイデアルとし、I \neq \{0\}とする。仮定よりあるr \neq 0があってr \in I. よって 1 = r^{-1}r \in I. よって任意のr' \in Rに対してr' = r'\cdot 1 \in I.よってI=R. 以上よりI=\{0\}またはI=R.
逆に、Rイデアル\{0\}R自身のみであるとする。任意にr \in Rをとると、rR = \{0\}またはrR=Rであり、前者のとき、任意のr' \in Rに対してrr'=0だからr=0. 後者のとき、1 \in R = rRよりあるr' \in R が存在してrr'=1となるからrは可逆元。よって任意の元が零元か可逆元だから、Rは体。(終)

さらに前回(環論メモ(イデアルと剰余環) - 数学大好き宣言!)より、次が言える:
定理 A:環, I\subset A:イデアル, \pi:A \rightarrow A/I:自然な射影とする。このとき、AIを含むイデアルと、A/Iイデアルは一対一対応し、その対応はA \supset J \mapsto \pi(J) \subset A/I, A/I \supset J' \mapsto \pi^{-1}(J') \subset Aで与えられる。

これらを用いて、主定理を証明しよう。
主定理の証明
まず、Iを極大イデアルとする。Iを含むAイデアルI,Aのみだから、A/Iイデアル\pi(I)=\{0\}\pi(A)=A/Iのみ. よってA/Iは体。
逆にA/Iが体であるとすると、Iを含むAイデアル\pi^{-1}(\{0\})=I\pi^{-1} (A/I) =Aのみ. よってIは極大イデアル。(終)


K:体、 f(x)\in K[x]とする。K[x]/(f(x))が体であることと、f(x)が既約であることは同値。
証明:K[x] は単項イデアル環だから、f(x)K[x] \subset g(x)K[x] \Leftrightarrow g(x)f(x)を割り切る。よってf(x)が既約なことはf(x)K[x]が極大イデアルであることと同値。
こうして体の拡大の理論も支えている定理なのだ。

環論メモ(イデアルと剰余環)

整数環におけるmodと同じことを、任意の環でも考えることができる。

1:剰余環の定義
A:環, I\subset A:イデアル
a,b\in Aに同値関係\sim を、
a \sim b :\Leftrightarrow a-b\in I
で定める。これが同値関係であることは、
a-a=0\in I,
a-b\in Iならばb-a=-(a-b)\in I,
a-b, b-c\in Iならばa-c=(a-b)+(b-c)\in I
から分かる。
また、a\sim b,c\sim dのとき、
(a+c)-(b+d)=(a-b)+(c-d)\in Iよりa+c\sim b+d,
ac-bd=ac-bc+bc-bd=(a-b)c+b(c-d)\in Iよりac\sim bdだから、
商集合A/\sim の同値類に演算を
[a]+[b]=[a+b],~ [a][b]=[ab] で定めると、well-definedになる。
演算が結合法則・分配法則を満たすことはもとの演算の結合法則・分配法則より明白で、
[0]は零元、[1]単位元になるから、
A/\sim は環になる。これをA/Iと書く。

2:剰余環のイデアルの構造
AからA/Iへの環準同型\phi\phi(a)=[a]で定める.
\phi全射だから、A/I=\phi(A)と書ける。
I\subset Jを満たすAイデアル全体を{\mathcal I},
A/Iイデアル全体を\mathcal I'とする。
補題1
(1)J\in {\mathcal I}なら\phi(J) \in {\mathcal I'}.
(2)J'\in {\mathcal I'}なら\phi^{-1}(J') \in {\mathcal I}.
(3) \phi^{-1} : {\mathcal I'} \rightarrow {\mathcal I} \phi : {\mathcal I} \rightarrow {\mathcal I'} の逆写像
証明
(1)x,y\in \phi(J),~ z\in \phi(A)とする。このとき\phi(a)=x,~\phi(b)=y,~ \phi(c)=zを満たすa,b\in J,~c\in Aが存在する。
a+b,~ ca\in Jだから、\phi(a+b)=\phi(a)+\phi(b)=x+y\in\phi(J),\phi(ca)=\phi(c)\phi(a)=zx \in \phi(J).
よって加法とスカラー倍で閉じているからA/Iイデアル

(2)x,y \in \phi^{-1}(J'), ~ z \in A とする。このとき\phi(x),  \phi(y) \in J'だから、
\phi(x+y)=\phi(x)+\phi(y) \in J', \phi(zx)=\phi(z)\phi(x) \in J'.
よって x+y, zx \in \phi^{-1}(J'). よって加法とスカラー倍で閉じているからAイデアル
また0_{A/I}A/Iイデアルとすると、 \phi^{-1}(J') \supset \phi^{-1}(\{ 0_{A/I} \})=I.

(3)\phi全射だから、\phi^{-1} \circ \phi(J) = J.

とてもきれいな対応だ。集合論で綺麗に示せるのも楽しい。

環論メモ(準素イデアル)

A:環
定義(準素イデアル)
イデアルQが、条件:
a,b \in A, ab \in Q ,a\not\in Q \Rightarrow \exists n\in {\mathbb N} ~s.t.~b^n\in Q
を満たすとき、Q準素イデアルであるという。

例1 A={\mathbb Z},~Q=p^k{\mathbb Z}(pは素数) とするとこれは準素イデアル
証明:ab\in p^k{\mathbb Z},~a\not\in p^k{\mathbb Z}とする。
ab \in p^k{\mathbb Z}より、あるc \in {\mathbb Z}があってab=p^k c
背理法で示す。任意の自然数mでb^m \not\in p^k{\mathbb Z}だとする。
bがpの倍数なら、b^k \in p^k{\mathbb Z}となってしまうから、bpの倍数ではない。
よってab=p^k c よりap^kの倍数だから、a\in p^k{\mathbb Z}.これは矛盾。よって示された。


準素イデアルから素イデアルを作りたい。

定義(根基)
イデアルI\subset Aの根基\sqrt{I}とは、
\sqrt{I}=\{a\in A|\exists n\in {\mathbb N}~s.t.~ a^n \in I \}
定理:根基はイデアル
a,b\in\sqrt{I},~ c\in A とする。条件よりあるm,nが存在してa^m,b^n \in I.
よって(ca)^m = c^m a^m \in I だから、a \in \sqrt{I}.
また、(a+b)^{m+n}=\sum_{i=1}^{m+n} \binom{m+n}{i}a^i b^{m+n-i} で、
i\geq mのとき\binom{m+n}{i}a^i b^{m+n-i} \in I,
i \lt mのときm+n-i\gt m+n-m=n だから、 \binom{m+n}{i}a^i b^{m+n-i} \in I.
よって(a+b)^{m+n}=\sum_{i=1}^{m+n} \binom{m+n}{i}a^i b^{m+n-i} \in I.
よって示された。

定理
Qが準素イデアルならば、\sqrt{Q} は素イデアル
証明:
ab\in \sqrt{Q}, a\not\in \sqrt{Q} とする。
ab\in \sqrt{Q}よりあるnが存在してa^n b^n \in Q.
またa\not\in \sqrt{Q} より a^n \not\in Q.
Qは準素イデアルだから、あるmが存在して(b^{n})^m = b^{mn} \in Q.
よってb\in \sqrt{Q}. よって素イデアルの定義を満たす。

よくできているなぁ。

コラッツ予想とFareyペア

前回:
【コラッツ予想】Eliahou の log3/log2 による考察 - 数学大好き宣言!

前の記事で紹介した結果:

Eliahouは1993年の論文で、サイクルの最小値が 2^{40} を超えるならば、周期の長さ p

p=301994a+17087915b+85137581c
となることを示した。ここでa,b,cは非負整数で、b\gt 1 かつ ac=0である。

これを示すのに、分数に関する「Fareyペア」という概念を使う。
定義
2つの分数\frac{p}{q} ,\frac{p'}{q'}(p,q,p',q' \in {\mathbb Z}_{\geq 0}) がFareyペア であるとは、
pq'-p'q=±1 であることを言う。
定理
\frac{p}{q} \lt \frac{p'}{q'}がFareyペアであり、分数\frac{x}{y} (x,y \in {\mathbb Z}, y\gt 0)\frac{p}{q} \lt \frac{x}{y} \lt \frac{p'}{q'} を満たすならば、あるa,b \in{\mathbb N}が存在して
\dfrac{x}{y}=\dfrac{ap+bp'}{aq+bq'}
と書ける。

この定理を用いて、例えば次のようにしてサイクルの周期の条件を求めることができる:
\frac{p}{q}\lt \frac{p'}{q'}\lt \frac{p''}{q''}は、\frac{p}{q}\lt \frac{\log3}{\log2} \lt \frac{p'}{q'} \lt \frac{\log(3+m^{-1})}{\log2} \lt \frac{p''}{q''} を満たしていて、
\frac{p}{q}, \frac{p'}{q'}はFareyペア、\frac{p'}{q'}, \frac{p''}{q''} もFarey ペアであるとする。
このとき、\frac{\log3}{\log2} \lt \frac{x}{y} \lt \frac{\log(3+m^{-1})}{\log2} ならば、
\frac{p}{q} \lt \frac{x}{y}\lt \frac{p'}{q'}または\frac{p'}{q'} \lt \frac{x}{y} \lt \frac{p''}{q''} だから、
自然数a,bが存在して \frac{x}{y}=\frac{ap+bp'}{aq+bq'}または\frac{x}{y}=\frac{ap'+bp''}{aq'+bq''}
この\frac{x}{y}として前の記事の定理の\frac{|\Omega|}{|\Omega_1|} を代入することで、|\Omega| の条件が得られる。
p/q=85137581/53715833, p'/q' = 17087915/10781274, p''/q'' =301994/190537 とする。
m=2^{40}のとき\frac{p}{q}, \frac{p'}{q'}, \frac{p''}{q''}は上の条件を満たし、
|\Omega|=85137581a+17087915b または |\Omega|=17087915a + 301994b が分かる。

85137581/53715833 などを見つけるのには、連分数を使う。連分数を使うと、Fareyペアが容易に得られる。

【コラッツ予想】Eliahou の log3/log2 による考察

Wikipedia のコラッツ予想のページにこんな記述がある:

Eliahouは1993年の論文で、サイクルの最小値が 2^40 を超えるならば、周期の長さ p が

{\displaystyle p=301994a+17087915b+85137581c}
となることを示した。ここで{\displaystyle a,b,c}は非負整数で、{\displaystyle b\geq 1} かつ {\displaystyle ac=0}である。この結果は、{\displaystyle \log 3/\log 2}の 連分数展開と関連している。

連分数と関係するとは、どういうことだろう。とても興味深い。
そこで論文を見つけてきた:www.sciencedirect.com
その方法というのがとてもおもしろい。説明を試みる。

基本的定義、約束
自然数から自然数への写像Tを、
T(n)={\begin{cases}n/2&{\mbox{}}n が偶数のとき\\(3n+1)/2 &{\mbox{}}nが奇数のとき\end{cases}}
で定義する。3n+1した後2で割るという「ショートカット」をしていることに注意。
自然数nに対して、\Omega(n) = \{n, T(n), T(T(n)), \cdots , T^i(n), \cdots \}と定義する。以後、nを明示せずにΩと書くこともある。
・任意のx\in \Omegaに対してあるkが存在してT^k(x)=xとなるとき、\Omegaをサイクルという。
・サイクル\Omegaの元のうち、奇数だけを集めた部分集合を\Omega_1と書く。
・サイクル\Omegaの最大元をM, 最小元をmと書く(Ωを省略する)。

本題
Eliahouの方法の核は、次の不等式だ:\Omegaがサイクルのとき、
\dfrac{\log3}{\log2} \lt \dfrac{|\Omega|}{|\Omega_1|} \leq \dfrac{\log(3+m^{-1})}{\log 2}
この記事ではひとまずこの定理を示す。

証明:
\Omegaはサイクルだから、
\displaystyle \prod_{n\in \Omega} n = \prod_{n \in \Omega}T(n)
よって
\displaystyle \prod_{n\in \Omega} \frac{T(n)}{n} =1
ここで、
nが偶数のとき\dfrac{T(n)}{n}=\dfrac{1}{2},
nが奇数のとき\dfrac{T(n)}{n}=\dfrac{3+n^{-1}}{2}だから、
\displaystyle \prod_{n\in \Omega} \frac{T(n)}{n} = \prod_{n\in \Omega} (\frac{1}{2}) \prod_{n \in \Omega_1}(3+n^{-1})=(\frac{1}{2})^{|\Omega|} \prod_{n \in \Omega_1}(3+n^{-1})
よって
\displaystyle (\frac{1}{2})^{|\Omega|} \prod_{n \in \Omega_1}(3+n^{-1}) =1 だから
\displaystyle\prod_{n \in \Omega_1}(3+n^{-1}) = 2^{|\Omega|}

任意のnに対してm\leq n, M\geq nだから、
m^{-1}\geq n^{-1}, M^{-1}\leq n^{-1}.
よって
3^{|\Omega_1|} \lt  (3+M^{-1})^{|\Omega_1|} \leq \prod_{n \in \Omega_1}(3+n^{-1})  \leq  (3+m^{-1})^{|\Omega_1|}
よって
3^{|\Omega_1|} \lt 2^{|\Omega|} \leq (3+m^{-1})^{|\Omega_1|}
自然対数をとって
|\Omega_1|\log 3 \lt   |\Omega|\log 2   \lt   |\Omega_1|\log (3+m^{-1})
両辺を|\Omega_1|\log 2で割って
\dfrac{\log 3}{\log 2} \lt   \dfrac{|\Omega|}{|\Omega_1|}  \lt   \dfrac{\log (3+m^{-1})}{\log 2}

コンピューターによる計算で、2^68以下の数はコラッツ予想を満たす、つまりループしないことが分かっているから、mはかなり大きいとしてよい。右辺はmが大きければどんどん\frac{\log 3}{\log 2} に近付くから、 \frac{|\Omega|}{|\Omega_1|}\frac{\log 3}{\log 2}のとても良い有理数近似でなければならないことになる。
連分数はとても良い近似を与えることが知られており、この話につながっていく。
一旦、終わり

終わりに(感想)
log3/log2 が出てくることは、ヒューリスティックな議論でもわかりそうだ。xが奇数のときT(x)=(3/2)x + (1/2) だが、十分大きいxでは+1/2の効果は小さくなり、だいたい(3/2)x と見なせる。
よって、T^k(n)=n とし、k回のうち、(3/2)x + (1/2) である回数をaとすると
n≒(1/2)^{k-a} (3/2)^b n よって(1/2)^{k-a} (3/2)^a≒1
整理して3^a≒2^k よって k/a ≒ \log3 / \log2
実際k=|\Omega|, a=|\Omega_1|だから近い式が得られた。
つまり、\log3 / \log2 は、ちゃんと最初の数に戻ってくるようなちょうどいい比率ということか。

【コラッツ予想】ループの考察

f(x)=x/2, g(x)=3x+1 とする。
(f \circ g \circ f \circ f \circ g)(x)などを縮めて文字列で fgffg(x) などと書き、
これを「fとgからなる文字列がxに作用している」と見なす。
fとgからなる有限の文字列全体の集合を\Lambda とおく。
\lambda \in \Lambdaに対して、
|\lambda|\lambdaの長さ、|\lambda|_f\lambdaに含まれるfの個数、|\lambda|_g\lambdaに含まれるgの個数とする。
さて、f(ax+b)=\frac{a}{2}x+ \frac{b}{2}  = \frac{a}{2}x + f(b),
 g(ax+b)=(3a)x + (3b+1)= (3a)x + g(b) だから、
\lambda(x)=\dfrac{3^{|\lambda|_g}}{2^{|\lambda|_f}} x  +  \lambda(0).

自然数xがコラッツ予想の操作でループするならば、ある\lambda \in \Lambdaが存在して\lambda(x)=xとなる。
つまり\dfrac{3^{|\lambda|_g}}{2^{|\lambda|_f}} x  +  \lambda(0) =x.
これを解いて
x=\dfrac{2^{|\lambda|_f} \lambda(0)}{2^{|\lambda|_f}  -  3^{|\lambda|_g}}
元の問題通り自然数の範囲で考えるなら、2^{|\lambda|_f}  \gt 3^{|\lambda|_g}でなくてはならない。両辺の自然対数をとって |\lambda|_f \gt \frac{\log 3}{\log 2}|\lambda|_g
なかなか面白い不等式が導けてうれしい。
さて、2^{|\lambda|_f} \lambda(0)自然数である。なぜなら、\lambdaの作用は2で|\lambda|_f回しか割っていないから、約分せずに計算してもλ(0)の分数としての分母は2^{|\lambda|_f}となるからだ。
よってxが整数になるのは、2^{|\lambda|_f}  -  3^{|\lambda|_g}2^{|\lambda|_f} \lambda(0)を割り切るときである。
2^{|\lambda|_f}  -  3^{|\lambda|_g}=1のときには、この条件は自明に満たされる。
2^m - 3^n =1の解はm=2,~n=1しか無いことが知られているので、|\lambda|_f=2, ~|\lambda|_g = 1のケースを計算してみよう。
このとき \lambda=ffg,~fgf,~gff で、
\lambda(0)はそれぞれ 1/4,~1/2,~1 だから、
xはそれぞれ 1,2,4 である。
これはコラッツ予想の唯一と考えられているサイクル1 \rightarrow 4 \rightarrow 2 \rightarrow 1に対応している。

p進整数環上のmod

p進整数環の基礎知識については以下にまとまっている。
https://mathematics-pdf.com/pdf/p_adic_field.pdf

p進整数環においてmodを考える。
定義
a,b\in{\mathbb Z}_p,~~ n\in {\mathbb N} に対して、
a \equiv b \mod p^na-b\in p^n {\mathbb Z}_p で定義する。
定理
(1)a \equiv b, c \equiv d \mod p^nならばa+c \equiv b+d , ac \equiv bd \mod p^n
(2)fを{\mathbb Z}_p係数多項式とすると、
a \equiv b \mod p^n \Rightarrow f(a) \equiv f(b) \mod p^n
証明:
(1) (a+c)-(b+d)=(a-b)+(c-d)\in p^n {\mathbb Z}_p,~~ \\ ac-bd=ac-bc+bc-bd=(a-b)c+ b(c-d)\in p^n {\mathbb Z}_p
(2)加法と乗法を保つから。

定理
{\rm ord}_p(a) \geq n \Leftrightarrow a\equiv 0 \mod p^n
証明
{\rm ord}_p(a) \geq n \Leftrightarrow |a|_p \leq p^{-n} \Leftrightarrow a\in p^n {\mathbb Z}_p \Leftrightarrow a\equiv 0 \mod p^n.

なお、{\mathbb Z}/p^n{\mathbb Z}{\mathbb Z}_p/p^n{\mathbb Z}_p と同型であることが知られている。

微分方程式と整数論(不定方程式)

特定の線形微分方程式の解空間の次元に、ディオファントス方程式の整数解の個数が現れてくる話。
\displaystyle (\frac{\partial^2}{\partial x^2} + \frac{\partial^2}{\partial y^2})f = \lambda f (λは定数)を、周期的境界条件f(x+2\pi ,y)=f(x, y+2\pi) =f(x,y)のもと解こう。
周期関数だから、fをフーリエ級数展開してf(x,y)=\sum_{k,l \in {\mathbb Z}}  a_{k,l} e^{i(kx+ly)} とおき、両辺に代入すると
\sum_{k,l \in {\mathbb Z}}  a_{k,l}(-k^2 - l^2) e^{i(kx+ly)} = \sum_{k,l \in {\mathbb Z}}  \lambda a_{k,l} e^{i(kx+ly)}
係数を比較して a_{k,l}(-k^2 - l^2)=\lambda a_{k,l}
よってa_{k,l}=0またはk^2 + l^2 =-\lambda
{k^2+l^2 = -\lambda}の解は有限個だから、
一般解は
f(x)=\displaystyle   \sum_{k^2+l^2 = -\lambda} a_{k,l} e^{i(kx+ly)}
ただしa_{k,l}は任意定数。(有限なので、収束は考えなくてよい)
よって解空間の次元はk^2+l^2 = -\lambdaの整数解の個数に一致する!(固有値λに対応する固有空間の次元と言っても同じ)(もちろんλが非正整数のとき以外は解なし。)

一般化しておく。
P(X_1,\cdots, X_n) 多項式とし、各{X_j}^mi^{-m} \frac{\partial^m }{\partial {x_j}^m} に置き換え、定数を定数倍作用素に置き換えた作用素
P(\frac{\partial }{\partial x_1},\cdots, \frac{\partial }{\partial x_n})と書く。
(例) X^2+Y^2+\lambda \rightarrow -\frac{\partial^2 }{\partial x^2}  -\frac{\partial^2 }{\partial y^2} + \lambda
X^3 +XY +2Y -2 \rightarrow (i^{-3})\frac{\partial^3 }{\partial x^3}   +i^{-2}\frac{\partial }{\partial x}\frac{\partial }{\partial y}    +2i^{-1}\frac{\partial }{\partial y}   -  2

定理:微分方程式P(\frac{\partial }{\partial x_1},\cdots, \frac{\partial }{\partial x_n})f=0 の、周期的境界条件f(x_1,\cdots,x_j +2\pi ,\cdots ,x_n)=f(x_1,\cdots, x_n)のもとでの解のなすベクトル空間の次元は、P(X_1,\cdots, X_n)=0 の整数解が有限個なら、その個数。

証明:全く同じ方針。fをフーリエ級数展開して、i^{-1}\frac{\partial }{\partial x_j}e^{i(k_1x_1+\cdots +k_nx_n)}=i^{-1}ik_j=k_jに注意して微分方程式に代入すると、
a_{k_1,\cdots,k_n} P(k_i,\cdots,k_n)=0 (ただしa_{k_1,\cdots,k_n}フーリエ係数)
よって一般解は\sum_{P(k_i,\cdots,k_n)=0}a_{k_1,\cdots,k_n}e^{i(k_1x_1+\cdots +k_nx_n)} (a_{k_1,\cdots,k_n}は任意定数)
よって次元はP(k_i,\cdots,k_n)=0の整数解の個数。

・周期的という条件を外して、fをフーリエ変換する方針だと、非整数解も許してしまう。周期性によって整数解に制限することができたと言える。
・周期性条件は、トーラス(S^1)^n上で解いたと言い換えることもできる。もっと他の曲面上ではどうなるだろうか。

(x+a)ᵐ(x+b)ⁿ の逆数の部分分数分解

\frac{1}{(x+a)(x+b)}の部分分数分解はよく知られていて \frac{1}{(x+a)(x+b)}=\frac{1}{b-a}\frac{1}{x+a}-\frac{1}{b-a}\frac{1}{x+b}である。
これをbで偏微分してみる。(これはa,b,xの恒等式だから、bで微分しても両辺は等しい)
積の微分公式を使うと
\displaystyle \frac{-1}{(x+a)(x+b)^2} \\ \displaystyle =\frac{-1}{(b-a)^2} \frac{1}{x+a}-\frac{-1}{(b-a)^2}\frac{1}{x+b}   -   \frac{1}{b-a}\frac{-1}{(x+b)^2}
\frac{-1}{(x+a)(x+b)^2}の部分分数分解が得られた。
同様に、 \frac{1}{(x+a)(x+b)}=\frac{1}{b-a}\frac{1}{x+a}-\frac{1}{b-a}\frac{1}{x+b}の両辺をaでm-1回、bでn-1回偏微分すれば、\frac{1}{(x+a)^m(x+b)^n} の部分分数分解が得られる。なぜなら、そうすれば左辺は\frac{1}{(x+a)^m(x+b)^n}の定数倍になり、積の微分公式より右辺第一項、第二項はそれぞれ\frac{1}{(b-a)^i}\frac{1}{(x+a)^j}の線形結合、\frac{1}{(b-a)^k}\frac{1}{(x+b)^l}の線形結合で表せる。これは部分分数分解に他ならない。

重解の部分分数分解は厄介なことが多いが、こんな方法で求められるとはおもしろい。具体的な式も、ライプニッツの公式を使えば求められそうだ。




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p進解析(3)一致の定理

p進解析(1)冪級数の収束半径 - 数学大好き宣言!
p進解析(2)冪級数の原点での連続性 - 数学大好き宣言!

pを素数\{a_k\}_kをp進数列とする。
級数 S_n(\{a_k\}_k,t)=\displaystyle\sum_{k=0}^{n} a_k t^k
t\in p^v {\mathbb Z}_p(vはある整数)のとき収束するとし、
f:p^v{\mathbb Z}_p \rightarrow {\mathbb Q}_p を f(x)=\lim_{n\rightarrow \infty} S_n(\{a_k\}_k,x) で定める。
このとき、次が成り立つ。
定理(一致の定理):点x=0f(x) の零点の集積点ならば、f(x)p^v {\mathbb Z}_p 上恒等的に0である。
証明:a_k \neq 0が存在すると仮定する。そのような最初のものをa_Nとし (つまり a_0=\cdots=a_{N-1}=0)、
 T_n(\{a_k\}_k,x)  =  \displaystyle\sum_{k=N}^{n}  a_k x^{k-N} とおくと、
T_n = x^{-N}S_n だから、\lim_{n \rightarrow \infty}  T_nx\in p^v{\mathbb Z}_p,~  x \neq 0のとき収束し、その値はx^{-N}f(x). また x=0 のときは有限和だから収束。
よってp^v{\mathbb Z}_p上の関数 g(x)=\lim_{n \rightarrow \infty}  T_n(x)が定義できて、
f(x)=x^N g(x).
またg(0)=a_N \neq 0.
x \neq 0であれば x^N \neq 0だから、x=0 以外の f(x) の零点はg(x)の零点でもある。よって x=0 は g(x) の零点の集積点でもある。すなわち、任意のδ>0 に対して 0\lt |x| \lt \delta を満たすg(x)の零点が存在する。
一方、冪級数の原点での連続性より、g(x) は x=0 で連続だから、εとして|a_N| \neq 0 をとると、あるδ>0 が存在して、|x|<δ ならば |a_N - g(x)| \lt |a_N|. 三角不等式より  |g(x)| \gt  0. よって|x|<δ ならば g(x)\neq 0.
これは矛盾。よって仮定「a_k \neq 0が存在する」は誤り。
よってすべてのkで a_k=0 であり、f(x) は恒等的に零である。

系:2つの冪級数関数 f(x), g(x) について、f(x)=g(x) となる点全体が0を集積点にもてば、f(x) と g(x) は冪級数として一致する。
証明は f(x)-g(x) に上の定理を適用すればよい。

吸引的固定点

漸化式の極限を調べるとき、固定点に当たりをつけるのは常套手段だが、どんなとき固定点に収束するのだろうか。
今日の定理は、その点での微分が1より小さい固定点なら、近くの点を自分に収束させるというものだ。
D\subset {\mathbb C}を領域とする。
 f(z):D \rightarrow {\mathbb C}複素関数とし、a\in Dはfの固定点、つまりf(a)=aを満たすとする。
このとき、点aでfが微分可能で、|f'(a)|\lt 1ならば、あるδ>0が存在して、|z-a|\leq \deltaならばf^n(z)はaに収束する。
※このような固定点は吸引的固定点と呼ばれる。

証明:|f'(a)|\lt 1だから、|f'(a)|+\varepsilon_0 \lt 1となるようなε₀>0がとれる。
条件より、\lim_{z\rightarrow a}\frac{f(z)-f(a)}{z-a}=f'(a)だから、
この\varepsilon_0に対してあるδ>0が存在して、
0<|z-a|<\deltaならば|\frac{f(z)-f(a)}{z-a}-f'(a)| \lt \varepsilon_0.
f(a)=aと三角不等式より
\frac{|f(z)-a|}{|z-a|} - |f'(a)| \lt \varepsilon_0
よって
|f(z)-a|\lt (|f'(a)|+\varepsilon_0) |z-a|
|z-a|\lt \deltaのとき、|f'(a)|+\varepsilon_0 \lt 1より
|f(z)-a|\lt (|f'(a)|+\varepsilon_0) |z-a| \lt \deltaだから、
不等式は繰り返し適用できて
|f^n(z)-a| \lt (|f'(a)|+\varepsilon_0)|f^{n-1}(z)-a| \lt \cdots \lt (|f'(a)|+\varepsilon)^n |z-a|
(|f'(a)|+\varepsilon_0)<1だから右辺は0に収束。よって左辺も0に収束する。
よって\lim_{n \rightarrow \infty} f^n(z) =a

p進解析(1)冪級数の収束半径

p進解析(2)冪級数の原点での連続性 - 数学大好き宣言!
p進解析(3)一致の定理 - 数学大好き宣言!

pを素数とする。p進数体{\mathbb Q}_p上で、和S_n=S_n(\{a_k\}_k,t)=\displaystyle\sum_{k=0}^{n} a_k t^k(a_nはp進数列) の極限(点列と見て極限を取る)を考えよう。
定理:S_nが収束⇔a_n t^nがn→∞で0に収束
証明:
(⇒の証明)S_nが収束
S_nがコーシー列({\mathbb Q}_pは完備だから)
⇔任意のε>0に対してあるN∊ℕが存在して、m>n>N ならば |S_m - S_n|_p \lt \varepsilon
つまり |\displaystyle\sum_{k=n+1}^{m} a_k t^k|_p \lt \varepsilon
ここでnとしてm-1をとれば|a_m t^m|_p \lt \varepsilon
よってa_m t^mは0に収束する。
(⇐の証明)a_n t^nがn→∞で0に収束するから、任意のεに対してあるNが存在して、n>Nならば
|a_n t^n|\lt \varepsilon
よってm>n>Nのとき
|S_m - S_n|_p = |\displaystyle\sum_{k=n+1}^{m} a_k t^k|_p \leq \max\{|a_k t^k|_p |~~ n+1\leq k \leq m\} \lt \varepsilon
(強三角不等式を用いた)
よってS_nはコーシー列だから収束する。
(証明終)

この定理により、S_nに収束半径の概念があることが分かる:
定理:t∊{\mathbb Q}_p S_n(\{a_k\}_k,t) が収束するとき、|s|≤|t| となる任意のs∊{\mathbb Q}_p S_n(\{a_k\}_k,s)は収束する。
(証明) S_n(\{a_k\}_k,t) が収束するから、a_n t^nが0に収束。
一方|s|≤|t|より0\leq |a_n s^n|\leq |a_n t^n|だからa_n s^nは0に収束。よってS_n(\{a_k\}_k,s)は収束する。

系:t∊{\mathbb Q}_p S_n(\{a_k\}_k,t) が発散するとき、|s|≥|t| となる任意のs∊{\mathbb Q}_p S_n(\{a_k\}_k,s)は発散する。
証明: S_n(\{a_k\}_k,s)が収束すると仮定すると、|s|≥|t|より S_n(\{a_k\}_k,t)は収束するはずなので矛盾。

よって、 S_n(\{a_k\}_k,t)が収束するような|t|が有限なら、最大値をp^{-v}(vは整数)とすると(非有界のときはv=-∞)、|t|\leq p^{-v}のとき S_n(\{a_k\}_k,t)は収束し、|t|\geq p^{-v+1}のとき S_n(\{a_k\}_k,t)は発散する。
言い換えると、あるv\in{\mathbb Z}\cup \{-\infty\}が存在して、 \{t\in {\mathbb Q}_p | S_n(\{a_k\}_k,t)は収束 \}=p^v {\mathbb Z}_p (ℤₚはp進整数環)

高次多項式力学系の発散条件(十分条件)

充填ジュリア集合やマンデルブロ集合の描画では、条件「|z|が2か|c|を越えれば、fⁿ(z)は発散」があったために、点の発散を確定することができ、発散する点については有限回の計算で終わらせることができた。高次多項式力学系に於いても、同じような境界を作れる:
定理: f(z)=z^n + \displaystyle\sum_{i=0}^{n-1} c_{i} z^i とする。(nは2以上の自然数、各cᵢ は複素数)
|z|は、|z|\geq 4かつ任意のiで|c_i|\leq \dfrac{|z|^{n-i}}{2n}を満たすとする。
このとき、\lim _{k\rightarrow \infty}|f^k(x)|=\infty(f^kはk回合成)

証明:|z|が条件を満たすとき、
|f(z)|\geq |z|^n - \displaystyle\sum_{i=0}^{n-1} |c_{i}| |z|^i \geq |z|^n - \displaystyle\sum_{i=0}^{n-1}\dfrac{|z|^{n}}{2n}
=\frac{1}{2}|z|^n \geq \frac{4}{2}|z|^{n-1} \geq 2|z|
(条件不等式の代入の際には、符号に注意)
よって|f(z)|\geq 2|z|が言えたから、繰り返し適用して
|f^k(z)|\geq 2|f^{k-1}(z)|\geq \cdots\geq 2^k |z|. よって正の無限大に発散する。

境界の存在を示すためだけに無理やり求めたが、当然条件中の4は2以上なら何でもいいし、条件不等式の分母の2nにも深い意味は無い。もっと緩い条件や、計算に適した条件があるだろう。

代数関数の積分の不思議な等式

示したいこと:a>1が自然数のとき、
\displaystyle a\int _{0}^{1} \frac{dx}{\sqrt[a]{1-x^a}}=\dfrac{\pi}{\sin (\pi/a)}
高次元の曲線の積分が、πの円分数倍になるのが不思議。

<証明>
ベータ関数とは
{\displaystyle \mathrm {\mathrm {B} } (a,b)=\int _{0}^{1}t^{a-1}(1-t)^{b-1}\,dt\!}
で定義される関数である。
\displaystyle{\mathrm B}(\frac{1}{a},1-\frac{1}{a})を求める。
t=x^a と置換積分する。t:0~1のときx:0~1 で、 \frac{dt}{dx} = ax^{a-1}だから、
{\displaystyle \mathrm {\mathrm {B} } (\frac{1}{a},1-\frac{1}{a})=a\int _{0}^{1}(x^a)^{1/a-1}(1-x^a)^{-1/a} x^{a-1}\,dx\!}
\displaystyle =a\int _{0}^{1}x^{1-a+a-1}(1-x^a)^{-1/a} \,dx\!
\displaystyle =a\int _{0}^{1} \frac{dx}{\sqrt[a]{1-x^a}}

一方、
\displaystyle {\mathrm B}(\frac{1}{a},1-\frac{1}{a})=\dfrac{\Gamma(\frac{1}{a})\Gamma(1-\frac{1}{a})}{\Gamma(1)}=\Gamma(\frac{1}{a})\Gamma(1-\frac{1}{a})
だから、ガンマ関数の相反公式より、{\mathrm B}(\frac{1}{a},1-\frac{1}{a})=\dfrac{\pi}{\sin (\pi/a)}
よって、
\displaystyle a\int _{0}^{1} \frac{dx}{\sqrt[a]{1-x^a}}=\dfrac{\pi}{\sin (\pi/a)}
結局、
\displaystyle \int _{0}^{1} \frac{dx}{\sqrt[a]{1-x^a}}=\dfrac{\pi}{a \sin (\pi/a)}
例えばa=6のとき
\displaystyle \int _{0}^{1} \frac{dx}{\sqrt[6]{1-x^6}}=\dfrac{\pi}{6 \sin (\pi/6)}=\frac{\pi}{3}
左辺の高度な積分が、πの簡単な式に帰着されるのはなんだか不思議だ。
式だけ見ると高校数学にも出てきそうだが、高校数学レベルの証明(=ガンマ関数を経由しない証明)は存在するのだろうか?

ガウス積分の一般化とフェルマー多様体

ガウス積分とは{\displaystyle \int _{-\infty }^{\infty }e^{-x^{2}}\,dx={\sqrt {\pi }}}のこと。
これは{\displaystyle \int _{0}^{\infty }e^{-x^{2}}\,dx=\frac{{\sqrt {\pi }}}{2}}とも書ける。
この一般化としてI(n)={\displaystyle \int _{0 }^{\infty }e^{-x^{n}}\,dx}を求めよう。
x=\sqrt[n]{t}とおくと、
\dfrac{dx}{dt}=\dfrac{1}{n}t^{\frac{1}{n}-1}
よって
I(n)=\displaystyle \frac{1}{n}\int_0^{\infty} t^{\frac{1}{n}-1} e^{-t} dt =\frac{1}{n}\Gamma(\frac{1}{n})
既におもしろいが、さらにこれを代数関数の積分を使って表示する。
\Gamma(1/n) ^n=\dfrac{\Gamma(1/n) ^n}{\Gamma(1)} = B(1/n,\cdots,1/n) (n変数)
ただしBは多変数ベータ関数。
多変数ベータ関数の積分表示(フェルマー多様体の積分の多変数ベータ関数による表示 - 数学大好き宣言!の最後の式)
より、
\Gamma(1/n) ^n=\displaystyle n^n\int_{t_1,\cdots,t_n>0} t_n dt_1 \cdots dt_{n-1}
(ただし{t_1}^n+\cdots+{t_n}^n=1)
よって
\displaystyle \int _{0 }^{\infty }e^{-x^{n}}\,dx  = \frac{1}{n}\Gamma(1/n)= ({\int_{t_1,\cdots,t_n>0} t_n dt_1 \cdots dt_{n-1}})^{1/n}
(ただし{t_1}^n+\cdots+{t_n}^n=1)
これはフェルマー多様体上の積分になっている。
これがガウス積分の一般化になっていることを確かめておく。n=2のとき右辺は
\displaystyle \sqrt{\int_{x,y>0}ydx}=\sqrt{\int_0^1 \sqrt{1-x^2}dx}=\sqrt{\frac{\pi}{4}}=\frac{\sqrt{\pi}}{2}