数学大好き宣言!

勉強メモ。おもしろいことを探していきたい。

いくつかの数論的関数とゼータ関数

ゼータ関数と数論的関数の関係、特に反転公式とゼータ関数の関係がおもしろい。
まずディリクレ級数の積を計算しておく。
\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty} \frac{a_n}{n^s}\sum_{n=1}^{\infty} \frac{b_n}{n^s}=\sum_{m=1}^{\infty}\sum_{n=1}^{\infty}\frac{a_m b_n}{(mn)^s}
だから、この積の\frac{1}{n^s}の係数をc_nとおくと、
c_n=\displaystyle\sum_{ij=n}a_i b_j=\sum_{d|n}a_d b_{n/d}.
\displaystyle\zeta(s)=\sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n^s}とおく。

次に約数関数d(n), メビウス関数μ(n)を導入する。
定義
(1)d(n)=(nの約数の個数)を約数関数という。
(2)メビウス関数μ(n)とは、nが平方因子をもつときμ(n)=0,nが相異なるk個の素数の積のときμ(n)=(-1)^k と定められる関数である。
次が成り立つ。
定理
(1)\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty} \frac{d(n)}{n^s}=\zeta(s)^2
(2)\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty} \frac{\mu(n)}{n^s}=\frac{1}{\zeta(s)}
証明
(1)\displaystyle\zeta(s)^2=\sum_{n=1}^{\infty}\sum_{d|n}\frac{1}{n^s}=\sum_{n=1}^{\infty} \frac{d(n)}{n^s}
(2)μ(n)は乗法的関数だから、左辺はオイラー積に分解でき、
\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty} \frac{\mu(n)}{n^s}=\prod_{p:素数}\sum_{k=0}^{\infty}\frac{\mu(p^k)}{p^{ks}}=\prod_{p:素数}\left(1-\frac{1}{p^s} \right)=\frac{1}{\zeta(s)}

定理(メビウスの反転公式)
f,gを自然数上の関数とする。
\displaystyle f(n)=\sum_{d|n} g(d)~~\Rightarrow~~g(n)=\sum_{d|n}\mu(d)g(n/d)
証明:f(n),g(n)のディリクレ級数をそれぞれF(s),G(s)とおく。条件式とディリクレ級数の積よりF(s)=G(s)\zeta(s)だから、G(s)=F(s)\zeta(s)^{-1}=F(s)\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty} \frac{\mu(n)}{n^s}.よってディリクレ級数の積より求める式が示された。