数列のp進補完
以下の定理を用いる。
定理:X,Yを距離空間とする。連続関数f,g:X→Y が、Xの稠密部分集合A上でf=gとなるとき、X上でf=gとなる。
p進整数環ℤₚの部分集合ℕは稠密である。
証明:a∊ℤₚとし、ε>0を任意にとる。稠密とは、|a-a'|<ε となるようなa'∊ℕが存在すること。
を を満たす自然数としたとき、 と同じ同値類に属する自然数は、 を満たす。
を上の点列とすると、これはからへの関数と考えることもできる。この関数が、あるからへの連続写像と上で一致すれば、それに拡張できる。
例1:X=ℤₚ、 a_n=f(n) (fは多項式) のとき、これはℤₚからℤₚへの多項式関数f(x)に拡張できる。(ℤₚ→ℤₚでの多項式の連続性からすぐ分かる)
例2:Xを任意の距離空間、a_nを周期がp冪の周期的な点列とすると、これは拡張できる。
証明:周期をp^kとする。ε>0を任意にとる。|n-n₀|<1/p^k のとき、 n≡n₀(mod p^k) . a_nは周期p^kより、a_n=a_n₀ だから、d(a_n ,a_n₀)=0<ε を満たす。(δにあたるものをεに関係なくとれる。)
例3:p=2、X=ℤ₂ とし、a∊ℤ₂ は|a|ₚ=1 を満たすとする。このとき、a_n=a^n とすると、これは拡張できる。
証明:ε>0を任意にとり、mを1/(2^m)<ε を満たす自然数とする。|n₀-n|<1/2^m のとき、n₀≡n (mod 2^m)だから、あるkにより n=n₀+k・2^m. よって、
a^{2^m}=a^φ(2^{m+1}) であり、|a|ₚ=1 だから、オイラーの定理(数論)より a^{2^m}=a^φ(2^{m+1})≡1 (mod 2^{m+1}). よって a^n≡a^n₀ (mod 2^{m+1}). よって|a^n-a^n₀|≤1/2^{m+1} <1/2^m <ε.
例3は、p=2以外でうまくいかないのだろうか? たとえばp=3のときには、φ(3^n)=2*3^{n-1} で、2が邪魔だ。しかし、オイラーの定理は、すべてのaがa^φ(m) で初めて 1と合同になると言っているわけではない。だからaが良い条件を満たせばa^{3^m}≡1(mod 3^{m+1})とできるのではないか。例えば、a≡1(mod 3)など。