gcd(f(n),f(n+1))と代数的整数論
※8/17 もう少し考察してみました
※筆者は整数論の初学者で、誤りや、回りくどい論述などがあるかと思います。発見したら指摘していただけると助かります。
こちらのツイートで提示され
多項式の公約数と言えば、昔どこかに投稿したんだけど、nが自然数の時の n^5+5 と (n+1)^5+5 の正の公約数としてあり得る整数が、おそらく見た目からは予想できない結果で、面白い。
— nishimura (@icqk3) 2020年8月10日
こちらのブログで考察されている問題
で、不思議な現象を見つけたので、報告と、代数的整数論を使った考察をしてみた。
まず不思議な現象を紹介する。x⁵+5と(x+1)⁵+5の終結式Res(x⁵+5,(x+1)⁵+5)を計算すると、-1968751. この1968751は、n⁵+5と(n+1)⁵+5の最大公約数がとりうる1でない唯一の値そのものとなっているのだ。wolframで計算した。
以下なぜそうなるかの考察。
※追記:以下の長い議論はせずに、次のような初等的考察もできる:f(n)とg(n)がともにpで割れる⇔f(n),g(n)≡0(mod p),これはfとgが有限体𝔽pで共通根をもつということ、すなわち終結式が𝔽pで0(pで割り切れる)ということだ。
モニック多項式f(x),g(x)の終結式は(ただしはf(x)の)根,はg(x)の根で、積は根の組み合わせ全体をわたる)だから、これに関連付けていく。
とし、をKの整閉包とする。x⁵+5=0の根を,(x+1)⁵+5=0の根をとする。n⁵+5と(n+1)⁵+5はともにK上で1次式の積まで因数分解されるから、の素イデアル𝖕が、イデアル(n⁵+5)と( (n+1)⁵+5)をともに割り切るとすると、あるi,jが存在して𝖕|(n - )かつ𝖕|(n - )となる。このとき(n - )-(n - ) =∊𝖕だから、𝖕|. よって𝖕|()=(Res(x⁵+5,(x+1)⁵+5))=(1968751). 1968751は有理素数だから、(n⁵+5)∊𝖕⋂ℤ=(1968751).よって1968751|(n⁵+5). 同様に1968751|((n+1)⁵+5). よってn⁵+5と(n+1)⁵+5が互いに素でない⇒1968751が公約数 がわかった。
終結式が有理素数であれば、同じ手法を使うことができるため、次はn⁵+5と(n+1)⁵+5の終結式がなぜこのような大きな素数となるのかが知りたい。n¹⁷+9と(n+1)¹⁷+9でも同様の現象が発生する(↓のツイート参照)ようなので、何か隠された原因があると思われる。
唐突の裏切り pic.twitter.com/usGjhzmvbt
— 数学を愛する会 (@mathlava) 2020年7月31日
終結式をのせておく。
Res(x⁵+a, (x+1)⁵+a)= -(5⁵a⁴+5⁴a²+1)
Res(x⁶+a, (x+1)⁶+a)= 6⁶a⁵+3³*5*11*61a⁴+2²*10303a³-6*11*41a²+6*2a+1
Res(x⁷+a, (x+1)⁷+a)= -(7⁷a⁶ + 3*17*7⁶a⁴ + 5*7⁴a² + 1)
Res(x¹¹+a, (x+1)¹¹+a)= -(11¹¹a¹⁰ + 2*3*11¹⁰*554839*a⁸ + 11⁸*1399*51631*a⁶ + 11⁶*47*79*271*a⁴ + 5*11⁴*53*a² +1)