数学大好き宣言!

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推移的二項関係の隣接代数、行列表現

定義
集合P上の二項関係⊰が推移的であるとは、s⊰t かつ t⊰u ならばs⊰u を満たすことである。

以下、Pを集合,⊰を推移的な二項関係とする。

定義(区間、局所有限性)
a,b∊P, a⊰bとする。区間[a,b]とは{p∊P|a⊰p かつ p⊰b}のこと。区間全体の集合をInt(P)と書く。
Pの任意の区間が有限集合のとき、(P,⊰)は局所有限であるという。

定義(隣接代数)
(P,⊰)が局所有限であるとする。
Pの環R上の隣接代数とは、関数 f:Int(P)→R 全体のなすR加群に、畳み込みと呼ばれる次の積*を定めたR-結合代数である:
(f*g)([s,u]):=\displaystyle\sum_{s⊰tかつt⊰u} f([s,t])g([t,u])
(和が有限となるために、局所有限性の仮定が必要だった)

行列表現
Pが有限集合のとき、隣接代数は行列で表せる。Pが位数Nの有限集合ならば、Pの各元に番号を振ることで、P={1, 2, ..., N}と見なすことができる。このとき、i,j∊Pに対して
A(f)ᵢⱼ=f([i, j]) (i⊰j のとき)
A(f)ᵢⱼ=0 (i⊰j でないとき)
(0は環Rの零元)(AᵢⱼでAのi,j成分を表す)
としてfと行列を対応させることで、上の隣接代数と下の記事の行列環I(R,N,⊰)は環として同型になる。
mochi-mochi61.hatenablog.com
(証明)
全単射は明らか。
・加法準同型も明らか。
・乗法準同型であることを示す。
A(f)A(g)_{ij}=\sum A(f)_{ik}A(g)_{kj}
i⊰k かつ k⊰j のときA(f)_{ik}A(g)_{kj}=f([i,k])g([k,j])
i\not⊰kまたはk\not⊰jのときA(f)_{ik}A(g)_{kj}=0
よって
A(f)A(g)_{ij}=\displaystyle\sum_{i⊰kかつk⊰j} f([i,k])g([k,j])=(f*g)([i,j])=A(f*g)_{ij}