数学大好き宣言!

勉強メモ。おもしろいことを探していきたい。

直交する曲線と正則関数(等角写像)

直交曲線族の話を久々に見かけた。こういうの↓↓

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1つ1つの楕円は、全ての紫の放物線と直交する、逆も然り。実際にはパラメーターを動かして無限個の曲線を考える。式でいうと、放物線y=ax^2と楕円(x^2)/2+y^2=bのペア。

これ、複素解析の、正則関数の等角写像の図にそっくり。

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wikipediaの等角写像へのリンク↓↓

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AD%89%E8%A7%92%E5%86%99%E5%83%8F#:~:text=%E7%AD%89%E8%A7%92%E5%86%99%E5%83%8F%EF%BC%88%E3%81%A8%E3%81%86%E3%81%8B,%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%82%82%E3%81%AE%E3%82%92%E3%81%84%E3%81%86%E3%80%82
言いやすいように、この等角写像で格子線を移した図を「等角図」と呼ぶことにしよう。

二つの図の共通点は、なんといっても曲線が直交しているというところ。等角写像は文字通り角度を保つので、直角が直角にうつされ直交する。

しかし、等角図⇒直交は成立しても、直交曲線族⇒等角図は言えない。どういうことかというと、例えばx=a,y=2bというペアの直交曲線族を考える。a,bを1ずつ動かし描画すると

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このようになる。さてこれが等角図になるような複素関数を考えると、それはf(x+yi)=x+2yiとなるが、これは正則でない(f(z)=zと一致の定理を考える)。

より進んだ、次の問題を考える:等角図で、片方が同心円に移されるような写像fを得る。

f(x+iy)=u(x,y)+v(x,y)iとしよう。条件は、xを止めてyを動かしたとき(x,yは逆でもいいが)、fが描く曲線が円ということ。u^2+v^2=g(x) (yによらない)という関係式があれば条件をみたす。これは逆関数逆関数も正則になる)を考えるほうが楽。gの逆関数をhとすると、x=h(u^2+v^2)。xがu,vの関数x(u,v)と考える。yもu,vの関数y(u,v)と考えてしまおう。fの逆関数はf^{-1}(u,v)=x(u,v)+y(u,v)iだ。

x(u,v)が決まればf^{-1}正則性の要請からコーシー・リーマンの関係式を使えてy(u,v)も決められるので、xを決めることになる(x=h(u^2+v^2を満たすように))。しかし例えば安易にx=u^2+v^2などとすると、なんとコーシー・リーマンの関係式を満たすyは存在しなくなってしまい、正則関数がつくれない。ここが難しいところ。

xからyが決まることから、正則性は実部uそのものに(vとのペアを考えずとも)条件を課していると考えられる。この条件を具体的な式にしたのが、「ラプラス方程式」だ。

関数をf,変数をx,yとしたラプラス方程式 \frac{\partial^2 f}{\partial x^2}+\frac{\partial^2 f}{\partial y^2}=0

この方程式を満たすことが、正則関数の実部になりうる同値条件となっている。つまり、xがこの方程式を満たすことが、yがコーシー・リーマンより見つかることと同値ということ(もちろんfをxにおきかえ、x,yの代わりにu,vで偏微分する)。x(u,v)=h(u^2+v^2)だから、これをラプラス方程式に代入して条件式を得ることができる。t=u^2+v^2を使って書くとh'(t)-t*h''(t)=0となり、ここから

h(u^2+v^2)=c*log(u^2+v^2)+d  (c,dは任意の定数)

が得られる。あとはコーシー・リーマンでyも求まる。答はf^{-1}(z)=log(z)となる。