数学大好き宣言!

勉強メモ。おもしろいことを探していきたい。

ガウス積分の一般化とフェルマー多様体

ガウス積分とはのこと。 これはとも書ける。 この一般化としてを求めよう。 とおくと、 よって 既におもしろいが、さらにこれを代数関数の積分を使って表示する。 (n変数) ただしBは多変数ベータ関数。 多変数ベータ関数の積分表示(フェルマー多様体の積分の…

フェルマー多様体の積分の多変数ベータ関数による表示

フェルマー多様体とは、m,nを自然数として という代数多様体のこと。n=2のときこれはフェルマー曲線 となる。 m=2のときこれは超球面 となる。 多変数ベータ関数とは (ただし) のこと。 と変数変換する。 積分範囲は変化せず、 , i≠jのとき だから、ヤコビア…

ガンマ関数の積の比の無限積表示・多変数ベータによる表示

(, ) について(1)無限積表示(2)多変数ベータ関数の比による表示を導く。(1)ガンマ関数のワイエルシュトラスの無限積表示とは、 のこと。ただしγはオイラーの定数。 ※この積は絶対収束する。つまり積の順序交換ができる。 のとき、 ワイエルシュトラスの無限…

多変数ベータ関数、ガンマ関数との関係

nを自然数とする。多変数ベータ関数とは (ただし) これは通常のベータ関数同様、次のガンマ関数による表示をもつ: 証明) ここで変数変換をする。 ,ただし 。 また、 とおく。 , とおく.ΦはDからEへの関数で、Φは一対一対応であることを示す。 のとき、定義…

ウォリス積の一般化(含むレムニスケート周率)

主定理:m,nが自然数で、n≠1のとき、 ベータ関数を使って示す。 ベータ関数とは で定義される関数である。 , とする。 と置換積分する。のとき で、 だから、 ガンマ関数との関係式より、 (とより) ここでガンマ関数の無限乗積表示より(ガンマ関数の積の比の…

ベータ関数の無限乗積表示

ベータ関数とは で定義される関数。 この記事では、 ベータ関数の無限乗積表示: を示す。ベータ関数はガンマ関数と次のような関係がある: こちらのサイト様で証明が読める:ガンマ関数とベータ関数の関係式とその証明 | 数学の景色さて、ガンマ関数には次…

barnesの多重ゼータ関数の積分表示

rを自然数とする。, 各成分の実部は正とする。またx∊ℂとする。 このとき級数 はt∊(0,∞) で絶対収束する。 これをメリン変換して ただしζはバーンズの多重ゼータ関数と呼ばれる関数。 さて、F(t)はより変形できる。 , とすると、 これで、綺麗な積分表示が得…

指数定理・加法定理と微分方程式 (偏微分利用)

f(x)=e^x とおくと、これは指数定理f(x+y)=f(x)f(y)を満たす。ここから微分方程式を導こう。 両辺をxで微分して、 f'(x+y)=f'(x)f(y). 両辺をyで微分して、 f'(x+y)=f(x)f'(y). よってf'(x)f(y)=f(x)f'(y). y=0を代入して f(0)f'(x) = f'(0)f(x). e^0=1 とf'…

多項式x²-x+1 の反復合成と素数の無限性証明

f(x)=x^2 - x + 1 として、f^2(x)=f(f(x)), f^3(x)=f(f(f(x))), ... を計算してみる。 f^2(x)=x^4 - 2*x^3 + 2*x^2 - x + 1 f^3(x)=x^8 - 4*x^7 + 8*x^6 - 10*x^5 + 9*x^4 - 6*x^3 + 3*x^2 - x + 1 f^4(x)=x^16 - 8*x^15 + 32*x^14 - 84*x^13 + 162*x^12 - 2…

3元2次形式の「クリスマス型」定理 (数値実験)

フェルマーのクリスマス定理とは 「pが素数のとき p≢3 (mod 4) ⇔ x²+y²=p が整数解をもつ」 という定理のこと。ところで、次の定理が知られている: 定理(1798,ルジャンドル) nが自然数のとき n=4ᵏ(8m+7) (k,mは非負整数) ⇔ x²+y²+z²=n が整数解をもたないこ…

代数的数の近似と不定方程式(トゥエの定理)

突然だが、実代数的数の近似に関して、次のような定理がある。 定理(トゥエの定理) αをn次の実代数的数(nはもちろん2以上)、κ>n/2 + 1 とする。このとき、αとκで決まる正定数cが存在して、 がすべての有理数p/q に対して成り立つ。 ※これは近似しにくさを…

9999の加法定理、フィボナッチ数列の加法定理

不思議な計算がある。 (n桁), (n+1桁) とおくと、 となっているようだ。三角関数の加法定理にそっくりだ!これは、 となっていることに着目すると、 次の定理を使って示せる: 定理 とおくと、 証明: 復号の上側が, 下側が だから、和をとって .□ これに, ,…

素数冪を法とした、多項式の反復合成

まずは次の定理を示す。 fを整係数多項式、pを素数、a,tを整数、kを自然数とすると、 (証明) 多項式のテイラー展開より、ある整係数多項式g(x,y)が存在して、 あとはx=a, y=tpᵏ を代入すれば よって例えば 繰り返し適用して、任意の自然数nに対して aが法pᵏ…

組み合わせ数の合同式

pを素数とする。 この記事では、a≡b でa≡b(mod p) を表すこととする。 (定理)a,bを自然数、a>bとする。次が成り立つ。 ただし、 は二項係数 (と同じ)。証明: ここで、 だから、 α≢0 のとき、 また、 よって.

自然数の素数冪乗 a^(p^n)

pを素数とする。 (定理1)a≡b (mod pⁿ) のとき、aᵖ≡bᵖ (mod pⁿ⁺¹) 証明: a=b+tpⁿ と書けるから、 aᵖ=(b+tpⁿ)ᵖ=bᵖ + pbᵖ⁻¹(tpⁿ) + ₚC₂bᵖ⁻²(tpⁿ)² + ・・・ ≡bᵖ (mod pⁿ⁺¹)繰り返し適用してみよう。 のとき、 よって よって よって (定理2)のとき、 任意の自然…

p進連分数

p進数の世界でも、連分数を考えることができる!(収束する!) pを奇素数とする。 f(x)=x²-2x-p とおく。 f(x)=x(x-2)-p だから、f(0)≡0(mod p), f(2)≡0(mod p). また, f'(x)=2x-2 であり、f'(0)=-2≢0(mod p), f'(2)=2≢0(mod p). (pは奇素数より) よってヘン…

p進整数環のヘンゼルの補題

ヘンゼルとグレーテル。ℤₚをp進整数環とする。f(x)をℤₚ係数の多項式とする。 xₖ∊ℤₚが、f(xₖ)≡0(mod pᵏ), f'(xₖ)≢0(mod p) を満たしているとする。 このとき、あるxₖ₊₁∊ℤₚで、 xₖ≡xₖ₊₁(mod pᵏ), f'(xₖ₊₁)≢0(mod p), f(xₖ₊₁)≡0(mod pᵏ⁺¹) を満たすものが存在す…

推移的二項関係の隣接代数、行列表現

定義 集合P上の二項関係⊰が推移的であるとは、s⊰t かつ t⊰u ならばs⊰u を満たすことである。以下、Pを集合,⊰を推移的な二項関係とする。定義(区間、局所有限性) a,b∊P, a⊰bとする。区間[a,b]とは{p∊P|a⊰p かつ p⊰b}のこと。区間全体の集合をInt(P)と書く。 P…

推移律と行列の環

集合S={1,2, ... , N}に、二項関係⊰が入っているとする。Rを環とする。 R値のN×N 行列であって、i⊰j でないところでは i,j成分が0(Rの零元)であるような行列全体の集合I(R,N,⊰)を考える。 つまり ⊰が推移律を満たすとき、これは行列の加法と乗法によって環を…

冪級数、ディリクレ級数の一般化

モノイドMに対して、次のような条件を考える: (条件A)任意のx∊Mに対して、x=yz となるようなy,zの組は有限個。Mを条件Aを満たすモノイド、Rを環とする。関数 f:M→R 全体は、点ごとの加法によってアーベル群となる。ここに次のような積(畳み込み積)を考える…

Posetと隣接代数

今後隣接代数のことを書くとき、毎回定義から始めるのは大変だから、ここにまとめておこう。 ======= 定義 Poset(半順序集合, Partially ordered set) (P,⊰)とは、半順序⊰をもつ集合Pである。二項関係⊰が半順序であるとは、⊰が反射律、推移律、反対称…

隣接代数の畳み込みと数列の畳み込み

ja.wikipedia.org この記事では、上のページの「定義」に登場する記号を使用する。自然数ℕは、通常の大小関係によって局所有限半順序集合になる。そのため、隣接代数を考えることができる。 a:ℕ→ℂを数列とする。 (a*b)(n)=とする。 から隣接代数の元 を、と…

外積(ウェッジ積)と小行列式(3次のとき)

, とする。 とおくと、 の係数はMの第3,3小行列式、 の係数はMの第1,3小行列式、 の係数はMの第2,3小行列式になっている。少し考察してみよう。 であって、これを展開したとき、が出てくるのは の部分のみ。 そしてこれはに一致するから、結局小行列式になる…

ルベーグ測度メモ

ルベーグ積分はリーマン積分の拡張で、極限と相性がいいもの、とよく言われる。でもこれじゃよくわからない。まず、もっともらしい拡張になっているのか?それに、どんなアイデアで極限と相性が良くなったのか。「なんか頑張ったら極限と相性が良くなった」…

正多面体群と射影特殊線形群

正多面体群はSO(3)の部分群で、「素数との関係」という観点において対応する群がPSL(2,q)で、馴染まないなと思っていたが、ちょっと調べて、以下のことが分かった。どちらもPSLの話だと言うことができる。・SL(2,ℂ)の有限部分群には、正多面体が現れる。有限…

正多面体と素数の現象だけまとめ

橋本義武先生の「正多面体と素数」をよんだ。正多面体と素数 (放送大学教材)作者:橋本義武放送大学教育振興会Amazonそこに書いてあった正多面体と素数の関係を列挙しておく。 この謎の現象を理解するために、一旦まとめてみようという考え。1.面、辺、頂点…

ライプニッツの公式の二項定理(二項展開)による証明

ライプニッツの公式を、二項定理で証明する方法を思いついた。 偏微分による証明と、それを改良したテンソル積による証明を思いついた。 偏微分による証明 テンソル積による証明 偏微分による証明 、、 、 とする。 であり、連鎖律より つまり よって ここで…

意外なライプニッツ則(交換子のライプニッツ則)

Rを非可換環とする。A,X,YをRの元とし、を で定める。 このとき、 こんな単純な計算がライプニッツ則を満たすとは、意外でおもしろい。 証明も微分のそれと少し似ている。微分のライプニッツ則の証明:

指数関数とライプニッツの公式と二項定理(2)

をe^xをかける線形作用素とし、をxで1回微分する線形作用素とする。このとき、 (ただしIは恒等作用素) よってだから、二項定理より、作用素のなす環の二項定理で、ライプニッツの公式による結果 を導けた。次は二項定理でライプニッツの公式を完全証明した…

圏論の実例まとめ

圏論を使うと、異なる理論の異なる(が考え方が似ている)概念を、統一的に見ることができる。 例えば、群論における群の直積と、位相空間論の直積位相は、群の圏と位相空間の圏の、それぞれでの「圏論的積」というものになっている。 同様の例: ・集合の圏の…