数学大好き宣言!

勉強メモ。おもしろいことを探していきたい。

数学

p進整数環のヘンゼルの補題

ヘンゼルとグレーテル。ℤₚをp進整数環とする。f(x)をℤₚ係数の多項式とする。 xₖ∊ℤₚが、f(xₖ)≡0(mod pᵏ), f'(xₖ)≢0(mod p) を満たしているとする。 このとき、あるxₖ₊₁∊ℤₚで、 xₖ≡xₖ₊₁(mod pᵏ), f'(xₖ₊₁)≢0(mod p), f(xₖ₊₁)≡0(mod pᵏ⁺¹) を満たすものが存在す…

推移的二項関係の隣接代数、行列表現

定義 集合P上の二項関係⊰が推移的であるとは、s⊰t かつ t⊰u ならばs⊰u を満たすことである。以下、Pを集合,⊰を推移的な二項関係とする。定義(区間、局所有限性) a,b∊P, a⊰bとする。区間[a,b]とは{p∊P|a⊰p かつ p⊰b}のこと。区間全体の集合をInt(P)と書く。 P…

推移律と行列の環

集合S={1,2, ... , N}に、二項関係⊰が入っているとする。Rを環とする。 R値のN×N 行列であって、i⊰j でないところでは i,j成分が0(Rの零元)であるような行列全体の集合I(R,N,⊰)を考える。 つまり ⊰が推移律を満たすとき、これは行列の加法と乗法によって環を…

冪級数、ディリクレ級数の一般化

モノイドMに対して、次のような条件を考える: (条件A)任意のx∊Mに対して、x=yz となるようなy,zの組は有限個。Mを条件Aを満たすモノイド、Rを環とする。関数 f:M→R 全体は、点ごとの加法によってアーベル群となる。ここに次のような積(畳み込み積)を考える…

Posetと隣接代数

今後隣接代数のことを書くとき、毎回定義から始めるのは大変だから、ここにまとめておこう。 ======= 定義 Poset(半順序集合, Partially ordered set) (P,⊰)とは、半順序⊰をもつ集合Pである。二項関係⊰が半順序であるとは、⊰が反射律、推移律、反対称…

隣接代数の畳み込みと数列の畳み込み

ja.wikipedia.org この記事では、上のページの「定義」に登場する記号を使用する。自然数ℕは、通常の大小関係によって局所有限半順序集合になる。そのため、隣接代数を考えることができる。 a:ℕ→ℂを数列とする。 (a*b)(n)=とする。 から隣接代数の元 を、と…

外積(ウェッジ積)と小行列式(3次のとき)

, とする。 とおくと、 の係数はMの第3,3小行列式、 の係数はMの第1,3小行列式、 の係数はMの第2,3小行列式になっている。少し考察してみよう。 であって、これを展開したとき、が出てくるのは の部分のみ。 そしてこれはに一致するから、結局小行列式になる…

正多面体群と射影特殊線形群

正多面体群はSO(3)の部分群で、「素数との関係」という観点において対応する群がPSL(2,q)で、馴染まないなと思っていたが、ちょっと調べて、以下のことが分かった。どちらもPSLの話だと言うことができる。・SL(2,ℂ)の有限部分群には、正多面体が現れる。有限…

正多面体と素数の現象だけまとめ

橋本義武先生の「正多面体と素数」をよんだ。正多面体と素数 (放送大学教材)作者:橋本義武放送大学教育振興会Amazonそこに書いてあった正多面体と素数の関係を列挙しておく。 この謎の現象を理解するために、一旦まとめてみようという考え。1.面、辺、頂点…

ライプニッツの公式の二項定理(二項展開)による証明

ライプニッツの公式を、二項定理で証明する方法を思いついた。 偏微分による証明と、それを改良したテンソル積による証明を思いついた。 偏微分による証明 テンソル積による証明 偏微分による証明 、、 、 とする。 であり、連鎖律より つまり よって ここで…

意外なライプニッツ則(交換子のライプニッツ則)

Rを非可換環とする。A,X,YをRの元とし、を で定める。 このとき、 こんな単純な計算がライプニッツ則を満たすとは、意外でおもしろい。 証明も微分のそれと少し似ている。微分のライプニッツ則の証明:

指数関数とライプニッツの公式と二項定理(2)

をe^xをかける線形作用素とし、をxで1回微分する線形作用素とする。このとき、 (ただしIは恒等作用素) よってだから、二項定理より、作用素のなす環の二項定理で、ライプニッツの公式による結果 を導けた。次は二項定理でライプニッツの公式を完全証明した…

圏論の実例まとめ

圏論を使うと、異なる理論の異なる(が考え方が似ている)概念を、統一的に見ることができる。 例えば、群論における群の直積と、位相空間論の直積位相は、群の圏と位相空間の圏の、それぞれでの「圏論的積」というものになっている。 同様の例: ・集合の圏の…

ライプニッツの公式と指数関数と二項定理

. 一方だから、ライプニッツの公式より、 よって これは二項定理になっている。ちょっとおもしろい。

外積(ウェッジ積)と行列式

ベクトルのウェッジ積とは、双線型な演算で、を満たすもののこと。 このとき、より、が成り立つ(交代性)。 二次元のとき、とおくと、 じつは一般に、n本のn次元ベクトルについて、 が成り立つ。 これは、行列式は列に関する多重線形性, 交代性, そしてで特徴…

行列式とテンソル積

テンソル積は、すべての多重線形写像のもとになるという性質がある。 行列式は列に関する多重線形性がある多重線形写像だから、テンソル積から構成することができる。テンソル積の普遍性 :ベクトル空間とする。テンソル積は、次の「普遍性」をもつ: φを と…

母関数:OGFとEGFの変換

を数列とする。 数列a_nのOGF(ordinary generating function)とは, のこと。 数列a_nのEGF(exponential generating function)とは、 のこと。 からを、またからを求めるには、次のようにする: 実際、 であるし、 置換積分でt=-e^{iθ}とおくと (ただしCは、…

数列のp進補完

以下の定理を用いる。 定理:X,Yを距離空間とする。連続関数f,g:X→Y が、Xの稠密部分集合A上でf=gとなるとき、X上でf=gとなる。p進整数環ℤₚの部分集合ℕは稠密である。 証明:a∊ℤₚとし、ε>0を任意にとる。稠密とは、|a-a'| を を満たす自然数としたとき、 と…

母関数とラプラス変換・フーリエ変換の類似性

数列←→その母関数と、関数←→そのラプラス変換、関数←→そのフーリエ変換 は、とてもそっくりだ。 特に、畳み込みに関する性質と微分に関する性質がおもしろい。※フーリエ変換の定義はとする の母関数をそれぞれ のラプラス変換をそれぞれ, フーリエ変換をそれ…

有理数の稠密性を使って

有理数の稠密性を使ったおもしろい定理を考えた。 定理f(x)は実数から実数への連続関数で、xが有理数のときf(x)=1であるとする。このとき、任意の実数xでf(x)=1である。εδ論法と、有理数の稠密性で証明できる。 f(x)は連続関数だから、任意の実数αで、 任意…

p進解析関数

p進解析を勉強した。↓メモ↓問題 p進数の世界でも、指数関数exp(x)や対数関数log(x), 三角関数sin(x)などを考えられるだろうか?この問題をどのように考えるか。1つのアプローチとして、冪級数を考えて(例えばexp(x)ならを考えて)、これがある範囲でp進収束す…

超幾何級数と連分数(₁F₁の場合)

(ただしはポッホハマー記号)とおくと、これは隣接関係式と呼ばれる次の2式を満たす: これらを示す。 一番目の式: まず、 さらに、 以上より をかけてn=1から∞まで和をとって二番目の式は簡単。前回↓ 超幾何級数と連分数(₀F₁の場合) - 数学大好き宣言! で…

電気回路と行列(補足)

前回↓mochi-mochi61.hatenablog.com 今回は電位・電位差との関係を考える。 頂点での電位がであるとする。このときとする。 にの転置行列をかけてみよう。 だから、素直にを計算すると、の第j成分は の定義は、なら1,なら-1,どちらでもないなら0というもの…

超幾何級数と連分数(₀F₁の場合)

(ただしはポッホハマー記号) とおくと、これは隣接関係式と呼ばれる次の関係式を満たす: 証明: ここで、 だから、 よって 両辺のn=1から∞までの和をとって よって この隣接関係式の両辺をF(a;z)でわり、 よって よってF(a;z)/F(a-1;z)=g(a), z/{(a-1)a}=k(…

電気回路と行列

電流をグラフ理論的に。 グラフ理論における「グラフ」とは、下のような、頂点を辺でつないだもののこと。 グラフの例回路はグラフと見なせる。このとき回路素子はひとつの辺に最高一つになるようにする。例えば下のように↓ グラフ化このようにして回路はグ…

いくつかの数論的関数とゼータ関数

ゼータ関数と数論的関数の関係、特に反転公式とゼータ関数の関係がおもしろい。 まずディリクレ級数の積を計算しておく。 だから、この積のの係数をとおくと、 とおく。次に約数関数d(n), メビウス関数μ(n)を導入する。 定義 (1)d(n)=(nの約数の個数)を約数…

【集合論】ベン図が書けないときの要素数の計算

集合Aの要素数を|A|で表す。 いま|A|,|B|,|A∩B|が分かっているときに、|A∪B|を求めたいとする。 このとき下のようなベン図を書いて|A∪B|=|A|+|B|-|A∩B|が分かる。 三つの場合、つまり|A∪B∪C|が求めたい場合も同様にベン図から分かる。 しかし4つ以上になる…

反復合成多項式の剰余関係

でfのn回合成を表すとする。例えばというように。 f(x)を多項式、a,bを自然数としたとき、はを割り切る。これを示す。 で有理係数多項式全体を表す。 を で生成される のイデアルとする。を示せばよい。 (のb回合成) よってだから、示された。 この証明方法…

整数行列の単因子

この記事の内容:単因子論の整数バージョンの、単因子標準形に変形できるところまでの証明。一意性は示していない。整数を成分とするm×n次正方行列全体をM(m,n;ℤ)と書く。基本行列 とは、次のようなN次正方行列のこと。 m×n行列にm次基本行列を左からかける…

数オリ(素数生成多項式の問題)

1987年の数学オリンピックの第六問「を以上の整数とする.をみたす任意の整数に対して,が素数ならば,をみたす任意の整数に対して,は素数であることを示せ.」 の解答をメモ。 前半の条件を仮定する。つまり、をみたす任意の整数に対して,が素数だと仮定…